強い信念を持ちたい時に! 鍋冠日親上人が開いた身延山宿坊岸之坊
皆さまこんにちは。身延在住のゆる身延です。今回は鍋冠日親上人が開基の宿坊、岸之坊さんのご紹介です。
身延山の西谷沿い、武井坊さんの横の細い道を抜けると、すぐ右手に現れるお寺が岸之坊さんです(日親上人の石像が目印!)。
御廟所にとても近くてお参りに便利な上、お隣の北之坊さんや、岸之坊さんの脇から参道をのぼっていくとすぐの麓坊さんは桜の名所としても人気なので、春の身延山参りにもお勧めです。
その岸之坊さん開基の日親上人は、とても烈しい生涯を送られたことで知られています。
日蓮宗を開いた日蓮聖人が歩まれた布教の道は、幾多もの迫害と至難の道のりでした。日親上人も自ら布教を行っていくにあたり、様々な困難が待ち受けていることを予測されたのでしょう。
鎌倉の妙隆寺に残る池では真冬に自らの爪を一日一枚ずつ剥がし、氷の張る池に合計百日間に渡って身を沈め、どのような試練にも耐えうる精神力を鍛えたといわれています。
日親上人はその後、全国へ布教に歩かれますが、日蓮聖人の教えを厳格に守ることを要求するがあまりに、様々な反発に遭います。
時の将軍足利義教(よしのり)に対しても日蓮宗への改宗を迫る直訴をしたものの受け入れられず、再度諌言を試みようと「立正治国論」を著しますが、捕らえられて舌を切り取られる等、様々な拷問を受けました。極めつけは真っ赤になるまで熱した鍋を頭に被せられる過酷な刑を受け、このことから「鍋冠日親上人」と呼ばれています。
それでも自らの信仰を貫き通して日蓮聖人の教えを守り続け、82歳まで生きられたのは、心身の強さ、逞しさゆえなのでしょう。
宿坊・岸之坊でおススメの過ごし方
2018年にご住職になられました岸之坊さんの若上人さんは、私の問いにいつも的確なお答えを下さる存在で、日頃から勉強させていただいております。
とても真面目な方で、ズバッとしたお答えの裏には「後は自分で考えてみなさい」という余白があるようです。答えをいただくと同時に、課題も与えられた気持ちにもなります。
ご住職に日親上人についてお尋ねした時、「岸之坊は長い歴史の中で、山内で何度も合併、移転を繰り返しているが、日親上人が日蓮聖人を強く慕う気持ちが、御廟所に近い現在の場所に移させたのではないだろうか」と、仰有っていらしたのが印象的でした。
坊内も昔ながらの宿坊ではありますがとても綺麗に整えられており、お邪魔するたびに気が引き締まる思いがします。「ゆったりとくつろぐか」「参籠らしくすごすか」、坊により特色は変わりますが、旅館に泊まる事と宿坊に泊まる事との大きな違いはここにあります。
岸之坊さんでは希望者は朝勤、夕勤に参加出来る他、食材にもこだわり、味噌も身延町産の曙大豆を使って手作りされる等、心のこもった和食を提供されています。
また、岸之坊さんのすぐ近くには日蓮宗の僧侶になる為に必ず入らなければならない信行道場(しんぎょうどうじょう)があり、4~5月、5月中旬から6月中旬、8~9月にかけてのそれぞれ35日間、団扇太鼓を叩きながら修行のため山内を歩く様子を見ることが出来ます。
更に毎年2月17日に行われる日親上人ご報恩の大祭では、報恩法要や祈祷の他、法話なども行われ、当日受付も可能だそうです。
御廟所にほど近い静かな環境で、是非ご自分の心に向き合われてみてはいかがでしょうか。ちなみに岸之坊さんでは灼熱に焼けた鍋を頭に被せられた日親上人に因んで、やけどの妙符をお受けすることも出来ます。
宿坊情報
食事→素材からこだわった和食
お守り等→やけど妙符
修行体験→朝勤、夕勤への参加可能
朝勤送迎→繁忙時以外希望があれば対応可能
外国語対応→基本的に日本語対応のみだが、外国人の宿泊も受け入れ可能
宿泊料金→8000円税別
電話番号→0556-62-0072