仏事だけでなくお守りにも! 初心者にも優しい身延山の数珠屋3選
皆さまこんにちは。身延在住のゆる身延です。今回は身延山の数珠屋特集です。
数珠はひとつも持っていない方や、持っていても意識せず使っている方も多いと思います。けれど一歩数珠屋に入ってみると、その美しさや奥深さに気付かされます。
身延山にはたくさんの数珠屋があり、お気に入りの数珠を見つけるには最適な場所です。各お店にお勧めの数珠も聞いてみましたので、是非参考にしてみてください。
明るくアドバイスして頂ける若松屋数珠仏具店
いつも門戸を広く開けている若松屋さんは、店内からお客さんの楽しそうな声が聞こえることも少なくありません。入って左手の棚には数珠がずらりと並び、木から石まで様々な数珠が置いてあります。
店頭の数珠だけでもお気に入りが見つかりそうですが、若松屋さんではオーダーメイドで作りにくる方が多いのだそうです。素材や房の色などお客さんの話を細かく聞いて、奥の工房で世界にひとつだけの数珠を作り上げてくださいます。お坊さんはご祈祷に使う木剣数珠も、オーダーされるとか。
店頭に並んでいる数珠を見本に「この素材の木で、この石を入れて、房はこの色で・・・」など、お願いしてもよいかも知れませんね。
身延山の他の数珠屋同様、若松屋さんでも数珠の修理はされていますが、参拝の手助けとなるように出来るだけ早めに手元に返せるようにと心がけているそうです。
毎日のお勤めに使っている数珠が傷んでしまった、糸がきれてしまったなど、少しでも早めに受け取りたい方はお願いしてみると良いかも知れません(その時の混雑状況などにもよります)。
また若松屋さんのお勧めは、香木の数珠とのことでした。現在香木が値上がりして手に入りづらくなってきており、今ある数珠は手放さない方が良いし、お店にある数珠も早めの購入がお勧めとのことでした。中でもインド白檀は質が良いとのことです。
私も白檀の数珠を持っていますが、とても香りが良く、お勤めの間も心を落ち着かせてくれるので、個人的にもお勧めです。
毎朝のように久遠寺の朝のお勤めに参列されるという信仰熱心な女将さんは、明るくわかりやすく色々なアドバイスをして下さるので、わからないことがあったら是非聞いてみてください!
■若松屋数珠仏具店 電話:0556−62−0145
色とりどりの数珠が並ぶ三河屋数珠店
三階建ての緑色の建物と入り口にかかる大きな数珠が目印なのが三河屋数珠店さんです。三河屋数珠店さんは現在18代目となる身延山で最古級の歴史を誇る数珠屋で、江戸時代に久遠寺の出開帳について商いに出た証といえる金看板も残っています。
三河屋さんに入ると、店内に所狭しと並べられた色とりどりの数珠の品揃えに驚かされます。「数珠ってこんなに美しいの?」と、思わされるような色合いの数珠はまさに「数珠を明るいイメージで捉え、お守りとして持っていてほしい」という女将さんの思いが表れているかのようです。
素材と房の組み合わせなどにこだわり、品格や法具としての数珠の意義を大切にしながら、時代に合わせた色調を心がけているという数珠はオリジナルのものが多く、ゆっくりと思い入れの持てる一本を見つけてほしいとのことでした。
数珠の素材の特徴を細やかに教えて下さる女将さんですが、お勧めは緑壇や屋久杉、木剣数珠に使われる国宝という素材の木を使ったものだそうです。ひとくちに木といっても様々な種類があり、三河屋さんでは珍しい梛(なぎ)の木の数珠も扱っているとか。使うほどに味わいが出る木の数珠。手に取ってみさせていただくのも良いかと思います。
店内にはお洒落な小物も並んでいます。
■三河屋数珠店 電話:0556−62−0136
落ち着いた安心感のある浪花屋珠数仏具店
真っ直ぐ続く門前町の河内屋食堂さんの角の道を、東谷方面に少し進むとあるのが浪花屋珠数仏具店さんです。
お店の奥にずらりと並ぶ数珠は落ち着いた色合いが多く、若い方から年配の方まで幅広い年代の方に使いやすそうです。
店頭には並びきれない数珠がお店の奥にもたくさんあるそうで、お客さんのお話をお聞きして色や素材など、お好みのものを出していただけるとのことでした。
出来るだけご参拝の方々の、信仰のお役に立てるようにしたいという女将さん。お経本の種類も豊富で、お参り初心者の方は色々と相談しながら数珠とセットで購入されると良いかも知れません。
また、オリジナル商品にこだわりがあり、扱っている仏像や印伝の殆どが浪花屋さんにしかないもので、常連さんが多いのも頷けます。
浪花屋さんのおすすめは、菩提樹の数珠とのこと。この木の下でお釈迦さまは悟りを開いたと伝わります。私も菩提寺からいただいて20年くらい使っている数珠は菩提樹のものです。長年使っていると表面がつるつるしてきて、違う良い風合いになってきます。
また、日蓮聖人が初めて持たれたのは、梅の木の数珠と言われています。このため初めて数珠を持つ方は、梅の木のものもお勧めだそうです。このように由来に沿ったおすすめをして下さるのも、見識あればこそ。有難いです。
■浪花屋珠数仏具店 電話:0556−62−0200
日蓮宗の数珠の特徴は
数珠は宗派により形が異なりますが、日蓮宗の数珠は煩悩を表す108の珠、2つの母珠の他、四菩薩、弟子(記子)珠が30、露珠(記子留)が4、浄明が1、数取珠が10の合計159の球から成ります。
房も檀信徒用の梵天という房から、お坊さんしか使えない導師房、荒行を出られた修法師の方が使う引き取り房など様々あります。多少複雑ですので、是非お店の方に相談しながら選んでみてください!
以前は仏事の際に持つものというイメージもありましたが、昨今はお守りとして持つ数珠もあります。私は仏事に使える落ち着いた色の数珠と、明るい色の持っていて嬉しくなるような数珠の二通りを持っていて、シーンによって使い分けています。
また石の数珠はとても綺麗ですが、冬には冷たく少し重量があるので、私は味わいがあり、手になじみやすい木の数珠と両方持っています。
ちなみに持っている数珠の房だけ色を変えたいなどの注文も出来ますので、それだけでお手持ちの数珠もガラッと印象を変えることが出来ますよ。
身延山のお店は個人商店が殆どのため、一見入りにくいと感じてしまう場合もあるかも知れませんが、一歩入ってみるとお店の方はみなさん親切にお話しして下さいます。是非色々なお店をめぐって、お気に入りの一連を探してみてください!
※「数珠」の表記は、店名は「数珠」と「珠数」で分かれていますが、近代では「数珠」と書かれることが多く、意味合いも同じであることから、文中では「数珠」とさせていただきました。