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お寺で人生やご縁を振り返る二尊院(山口県長門市)の宿坊

二尊院

基本情報

二尊院(山口県長門市)

電話  :090-3889-7696
ウェブ :二尊院
住所  :山口県長門市油谷向津具下3542-2
アクセス:JR山陰本線「人丸駅」下車、バスで約35分(大浦行・二尊院下車)。もしくは、タクシーで20分
     ・国道191号線より「伊上」信号を楊貴妃の里方面へ美祢IC、小月ICから60分
駐車場 :15台駐車可能
時間帯 :チェックイン14時(最終チェックイン 17時30分)。チェックアウト11時30分。
収容  :一日一組限定
【宿坊】
一泊二食 16500円(2名以上 13000円)
中学生以下  8000円
未就学児   5000円
布団のみ   2000円
添い寝    無料

【座禅】
座禅体験 2500円(宿泊者は無料)

【写経・写仏】
絵写経 2500円(宿泊者は無料)

【滝行】
滝行 5500円


特徴・見所

 本州最西北端に位置する山口県長門市・向津具(むかつく)半島にある二尊院の宿坊です。1200年の歴史あるお寺で、中国から楊貴妃が逃れて辿り着き、ここで生涯を閉じたという伝説が残されています。

 こちらは真言宗の阿字観瞑想(月輪観)や写経、山口県の伝統産業である和ろうそく作り、お琴体験、住職が運転する船に乗り、向かいにある弁天島への参拝クルージングなどがあります。また「縁説き寺」をテーマに自分の人生やご縁を紐解き、振り返る時間を大切にされており、住職からカウンセリングを受けることもできます。

 夕食は地域の食材をふんだんに使った精進料理、朝食はお粥膳が用意されています。夜には坊主バーで般若湯を飲みながらご住職との交流会も行われます。

 宿坊を利用する方を対象に、長門市内の無料送迎サービスが行われています。ご希望の方は、ご予約の際にその旨ご連絡ください、とのことです。


地図


ほーりー記

 宿坊のコンセプトをお寺の方と一緒に作っていることもあり、宿坊オープン前のプレ宿泊イベントで泊まらせて頂きました。

 二尊院は地図を見て頂ければ分かりますが、アクセスが結構大変な場所にあります。私は2回行きましたが、一度目は羽田空港から飛行機に乗って山口宇部空港で降り、そこからレンタカーを借りました。

 そして二回目は東京駅から新幹線で新山口駅に行き、バスでセンザキッチンという交流拠点施設まで移動。そこから二尊院の方に車で迎えにきて頂きました。

 なお、時期や予約タイミングによって、飛行機と新幹線はどちらが安いか変わります。また運転できない方は、山口宇部空港から新山口駅まで電車で移動してから、バスで向かうことも可能です。

二尊院宿坊に到着

 そんなわけで二尊院に着くと、こちらは「楊貴妃の里」という公園と境内が一体となった広い敷地があり、その一画に寺院建築様式が用いられた建物があります。こちらが二尊院の宿坊です。

■二尊院の宿坊
二尊院の宿坊

 客室は二階にあり、8畳の和室が二間続いた広々とした造りです。床の間には違い棚や地袋があり、さらに青い壁紙がぱっと見た目に華やかで、非日常的な時間が過ごせるステキなお部屋でした。

 また二尊院は海を見下ろす高台にあるお寺ですが、窓からは漁港や海原が見えて眺めは抜群です。夕暮れ時は海に太陽が沈んでいくところも見られ、時間の移り変わりも感じられます。

■二尊院の客室
二尊院の客室

二尊院の宿坊体験

 宿泊すると、まず最初に入山式がありました。住職と一緒にお経を読み、お寺に入るための心を整えます。そしてそれが終わると、住職のカウンセリングが始まりました。

 二尊院は『縁説き寺』と名付けて、この宿坊活動を行われていますが、まずは自分が過去からどのようなご縁を頂いてきたのか、そして現在の悩みや課題にどうつながっているか、さらに未来にどうなっていきたいのかを、じっくり考える時間です。そして一つ一つ紙に書きながら、住職と一緒に向き合っていきます。

■住職のカウンセリング
二尊院のカウンセリング

 ほーりーも普段は人にペースを合わせるのが苦手で、ついつい単独行動をしがちなこととか、それが仕事やプライベートにどう影響しているかなんてことを、話し込んじゃいました。

 そしてそれが終わると密教坐禅(真言宗の月輪観)を体験しました。これは目の前に月が描かれた掛け軸を置いて坐り、その月と自身が一体となっていくところをイメージするものです(ちなみにこの月の中に「阿」という梵字が書かれると、阿字観になります)。

■月輪観
二尊院の月輪観

 左足を組んでその上に右足を乗せ(菩薩坐)、左手の上に右手を重ねた法界定印を結び、身体を左右に揺らして重心を探します。呼吸はゆっくりと鼻で行い、目は半眼にして目の前の月が新月から三日月となり、半月から満月へと変わっていく姿を思い浮かべます。

 さらにそれらが部屋からお寺へ、そして町から三千大千世界と呼ばれる、光でいっぱいに満ちた世界へと膨らんでいくように指導されますが、なかなかこんな光景を思い浮かべるのは簡単ではありません。

 ほーりーも雑念が湧いては、膨らんだのかしぼんだのかよく分からない、中途半端なお月さまと心の中で格闘していました。

 そして初日のお寺体験が一通り終了すると、夕食の前にお風呂が進められました。こちらは一般的な家庭風呂ですが、そこにもお寺ならではのちょっとした仕掛けがあります。お湯の中に丁子(クローブ)が浮かべられていました。

■お風呂に浮かんだ丁子
お風呂に浮かんだ丁子

 丁子は独特の刺激がある匂いがあって、写経をするときに口に含んだりもする香辛料ですが、お坊さんは修行中にこの丁子が入ったお風呂で身を清めるのだそうです。私は丁子はちょっと苦手意識もあったのですが、このお風呂はすごくさっぱりしていて、身体中が殺菌されたようなすがすがしい気持ちになりました。

美味しく心にも響く精進料理

 お風呂から上がると夕食です。こちらでは地元の食材をふんだんに使った精進料理が頂けます。住職自らお膳を運んできて下さり、そろったところで食前の言葉(食事極略作法)を唱えます。

■食事作法
二尊院の精進料理作法

 目の前の食事がどのように生まれ、作られたのか。自分はそれを頂くに値する生き方をしているか。欲望のままに食べるのではなく、節度ある食事を心がけ、それを自分の人生に活かしていくこと。

 普段はなかなか考えることもないような、食事の一つ一つが自分を生き方につながっていることを振り返られるのは、お寺ならではかもしれません。

 最後に一切の悪を断つ為に、一切の善を修す為に、一切の生を度す為にと心で読み上げながら、お米を数粒ずつ口に含みます。そして「仏道に廻向する為に」としてけんちん汁を一口飲み、食事が始まりました。

 この日のメニューは、ご飯、香物、けんちん汁、里芋まんじゅう、精進天ぷら(菜の花、ゆり根、えんどう豆)、豆乳マヨネーズをかけた野菜(ブロッコリー、カリフラワー、ラディッシュ)、せりの胡麻和えときんぴら、湯豆腐です。

■二尊院の精進料理
二尊院の精進料理

 宿坊を開くためにこのお膳も仏具屋さんから取り寄せたそうですが、これがまた華やかでちょっと心が盛り上がります(先ほど、欲望で食べないことを誓ったばかりなのに、、、)。さらに地元の料理人さんと工夫しながらメニューも決められたそうで、味もしっかりしていました。

 特に美味しかったのは、里芋まんじゅうです。中に豆腐のそぼろが入っていて、かけられたとろとろのあんとよく絡みます。また卵が使えないので工夫された豆乳マヨネーズは、通常のマヨネーズよりあっさりしていて、マヨ派でない私でも幾らでもいけそうでした。

 そして食事が終わると、また食後の言葉を住職と一緒にお唱えしてごちそうさまです。

お酒を交えて、住職と語らう時間

 食事を終えて、一息ついたら、坊主バーが始まりました。

■坊主バー
二尊院の坊主バー

 これは気まぐれイベントとのことで、お寺にあったお酒を住職がごちそうしてくださいました。この日は山口県の宝船というお酒で、すっきりと飲みやすかったです。

 楽しく話したり、客室に置いてあった法螺貝の吹き方レクチャーを受けたりしながら、夜は更けていきました。すぐ隣にはこんな布団が敷かれているので、気持ちよく酔ってばたっと倒れたら泥のように眠れます。

二尊院の布団

早朝のお勤めと美味しい朝粥

 翌朝、6時30分から本堂でお勤めが始まります。ちょっと眠い目をこすりつつ、宿坊を出て本堂まで軽く歩き、塗香で身を清めてから仏様の前に座ります。

二尊院の朝のお勤め

 ここでは住職の声に合わせて、一緒にお経を唱えました(お経の本も用意されています)。ろうそくの明かりに照らされた薄暗い本堂に響く、読経や磬子(けいす)、祓(はつ)などの仏具の重厚さ。

 朝の空気もすがすがしくて、こうした時間を過ごせるのは宿坊の一番の醍醐味と言えます。終わった後は再び月輪観の体験をしたり、本堂に安置されている仏像などを解説して頂き、お勤めは終了しました。

 そして宿坊に戻ると、朝食です。朝は菜の花が乗ったお粥と味噌汁、胡麻豆腐、ほうれん草の胡麻和え、ひじきとかいわれ大根、白菜、大根、めかぶの漬物でした。

■お粥の朝食
二尊院宿坊の朝食

 こちらもおいしかったですが、特にお寺で朝に頂くお粥は特別な気がします。すっと身体に吸収されていくような優しさがありました(ちなみにお粥は季節によって、いろいろ変わるように考えられているとのことです)。

和ろうそく体験

 2日目の午前中は、和ろうそく作りの体験も行わせて頂きました。山口県(長州藩)はもともと「長州四白」と呼ばれる米、塩、紙、鑞が特産品でした。そのためこの「ろうそく作り」も取り入れられましたが、これがひたすらに地味な作業の繰り返しです。

 熱して溶けたろうに、葦で作った芯を入れたり出したりして、だんだんと太く長く固まっていくように形を作ります。

■和ろうそく作り体験
二尊院の和ろうそく作り

 しかしこれが単純作業であるためか、無心になって行えました。日常に悩みがある人ほど、ハマりそうな体験で、終わった後はちょっとだけ心が晴れ晴れとします。そして最後にヘラで形を整えて完成です。

 そんなわけで、あっという間だった二尊院の宿坊旅行。今回はプレ宿泊のモニターツアーということもあり、スケジュールがぎっしり詰まっていましたが、実際にスタートした後は来られる方の希望に合わせていろいろ体験を組み合わせたり、ゆったりのんびり過ごしたりできるようです。

 例えば他には、住職が運転する船に乗ってお寺の向かいにある弁天島へと参拝に行ったりとか(今回は船だけ見せて頂きました)。

■参拝クルージング
二尊院の参拝クルージング

 また一番最後、宿坊をチェックアウトする前には、10分間の作務(掃除)を行います。これもまた、心を整える大切な時間です。

■10分間の作務
二尊院宿坊の作務

 本州最西北端の秘境とも言える宿坊・二尊院。ぜひぜひ、日常から離れた時間を過ごしたい方は、出かけてみてはいかがでしょうか?



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寺社旅研究家のほーりーが立ち上げた、宿坊研究会の編集部。日本全国300件以上の宿坊を紹介し、宿泊者の体験談も多数掲載! 全国の座禅会・写経会・精進料理などの寺社体験もレポートしています。

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