両親に感謝の気持ちを伝えたい時に訪れたい身延山奥の院
皆さまこんにちは。身延在住のゆる身延です。今回は身延山の奥之院思親閣についてご紹介します。
身延山山頂にある奥之院は「思親閣」(ししんかく)といい、日蓮聖人が遠く安房(千葉県)のご両親に想いを馳せた場所と伝えられています。
そのため、身延山の「奥之院」としてのお参りはもとより、身延山の中でも、特に両親に感謝を伝えたい時にお参りするとよいとされています。最近では両親への感謝の気持ちを蓮の花びらの形をした専用の用紙に記して知恩報恩塔に納める「父母への手紙」や、身近な人、ご先祖様に感謝の気持ちを記したエコ風船を飛ばす「回向バルーン」等の行事も行われるようになりました。
■お万の方(徳川家康の側室)ゆかりの釈尊像(提供:身延山久遠寺)
奥之院へは久遠寺本堂裏手の山道から、歩いて2~3時間ほどで行くことができます。途中の道には、現存する中で身延山最古のお堂である鬼子母神堂や、徳川家康の側室・お万の方の助力により建立された金色に輝く大きな釈尊像、千体仏、見惚れるような格好良さの四天王像を安置する丈六堂、日蓮聖人が彫られたと伝わる大黒天像を祀る大黒堂等々、たくさんの見所があります。
トレッキングにも人気の道となっていますが、今はロープウェイで往復することが出来ますので気軽なお参りも可能です。
■身延山ロープウェイ
身延山山頂には奥之院の本堂の他、日蓮聖人の登山の道案内をしたといわれる狐を「常護菩薩」として祀った常護堂や札所、休憩所、山頂展望台や食事処があります。
■奥之院の食事処、売店
奥之院は山の上だけあって久遠寺境内とはだいぶ気温が違いますので、お参りの際は真夏でもない限りは羽織るものをご用意された方が良いかと思います。
晴れた日の山頂展望台からは富士川沿いの絶景や、富士山の姿を望むことが出来ますが、私はあえて雲が多い時に行くことがあります。
■霧の中の奥之院思親閣
2~3メートル先も霧の中に霞むような、奥之院の幻想的な光景が大好きだからです。せっかくの身延山参拝に、お天気が良くなくてもがっかりせず、是非、奥之院の神秘的な雰囲気を体感しにいらして下さい。
奥之院ではもちろん御朱印もいただけますし、御開帳も行っていますので、お時間のある方は奥之院のお堂に祀られている日蓮聖人のご両親の像を間近に、お参りされてみては如何かと思います。
■奥之院思親閣
境内へ続く階段の途中には日蓮聖人が、国、師匠、ご両親の追善供養のために植えられたといわれている4本の杉の巨木「お手植え杉」が立っています。
■日蓮聖人お手植え杉
日蓮聖人は安房小湊(千葉県鴨川市)の生まれで、漁師の息子とされていますが、歴史上、他の宗派の開祖には身分の高い人々が多かった中、自らは「漁夫の子」「民の子」であることを恥じることなく布教活動を行っていました。そして、生涯「知恩報恩(恩を知り、恩に報いること)」という心がけを大切にされていたのです。
日蓮聖人が山頂に登られていた当時には、お堂などは何もなく、山頂までの道のりもまさに「道なき道」でしたが、それでも頻繁に登られ、故郷のご両親の追善供養をされていたといいます。
日蓮聖人のご両親への想いが染みこんだ場所、それが身延山山頂なのです。
皆さまも親御さんや大切な人に感謝の気持ちを伝えたい時、ご一緒に奥之院にお参りされてみてはいかがでしょうか。また、すでに直接感謝の気持ちを伝えられない場合にも。この場所からなら届くかも知れません。
「親に良いことをしようと思って、することが出来ないなら、せめて、一日に二、三度、向かい合って笑ってみなさい」
と、日蓮聖人はいわれています。些細なことからでいい、親御さんがいてこそ、今自分があることへの感謝を胸に、奥之院へお参りいただければと思います。
ちなみに、日蓮聖人が実際に身延山山頂への登山に使われた道は、現在の西谷の麓坊さんのある場所から続いていた道といわれています。しかし残念ながら今はその道は辿る事が出来ず、その足跡を残すために麓坊さんが建てられたといいます。
■麓坊
よろしければ、奥之院とともに、麓坊さんへもお参り下さいませ。