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健脚の守り神! 日荷上人の謎が残る壮大な身延山三門は見所満載

身延山久遠寺の三門

 皆さまこんにちは。身延在住のゆる身延です。本日は身延山のシンボル的存在でもある三門についてご紹介します。

 身延山の三門は「日本三大三門」(諸説あり。他二カ所は京都の南禅寺、知恩院)と呼ばれるように、大変大きく立派な門で、間口は13間(約23.5M)奥行きは5間(約9M)、高さは7丈(約21M)にも及び、2018年に国の有形登録文化財に指定されました。

 その壮大な造りに多くの参拝の方は足を止められ、門の両脇には仁王様が睨みをきかせ、門の楼上ではお釈迦様と十六羅漢様が見守ります。

 なぜ「山門」ではなく「三門」なのか。「三門」とは「三解脱門」の意味で、仏教の教義の悟りの内容である「空・無相・無願」を表わしています。簡略に表現すると、「空」は、全ての存在、現象は実体を持たないことから「ものごとにこだわらないこと」、「無相」は、「空」であるゆえに差別がない、つまり「見かけで差別しないこと」、「無願」は、「無相」であるゆえにそれらは求め願うような欲望の対象ではない、つまり「欲望のまま求めない」ことです。世の中の様々な執着を取り払って本堂に至る門として三門が存在しているのです。

 三門をくぐる事で俗世の様々な執着を取り払い、楼上で見守るお釈迦様、十六羅漢様に菩提へと続く道に誘っていただき、三門の先にある菩提梯(有名な急階段)で菩提へと近づき、久遠寺境内という浄土に到達する、という構造が成り立っています。

 菩提梯はあまりにも急な階段なので、それを避けて車で西谷か東谷から久遠寺へ上がられる方が多いですが、仏教的な意味を考えた時には、是非、三門を潜り、菩提梯を上ってみていただければと思います。

三門に納められているわらじの謎

■三門のわらじ
身延山久遠寺の三門わらじ

 ところで、三門をお参りするとたくさんのわらじが納められていることに気づかれる方も多いと思いますが、これは三門にまつわる伝説によるものです。

 身延山の三門には、かつて仁王像がない時期があったとも言われており、これを嘆いた中山法華経寺の日祐上人の弟子、六浦平次郎の夢枕に、真言宗の名刹である称名寺(横浜市金沢区)の仁王像が表れ「私は身延山で人々の守り神になりたい。おまえの力で私を身延山まで運んでおくれ」と、告げたといいます。

 平次郎は早速称名寺を訪ね、仁王像の話をしましたが、受け入れられるはずもありません。そこで、囲碁が大好きだった称名寺の住職に仁王像をかけての囲碁の勝負を挑み、気迫の勝利をおさめて仁王像を勝ち取りました。

 平次郎は縄をもってこの7尺2寸(2M超)もある仁王像二体を一度に背負い、三日三晩(一晩とも)かけて身延山に運んだという伝説が残っています。その為、三門の仁王様は健脚の守り神とされ、たくさんのわらじが奉納されるようになり、現在は三門で健脚のお守りも頒布されています。

 ちなみに、この平次郎は当時の法主猊下により日荷という名を与えられ、谷中の延壽寺でも健脚の神様として祀られている他、横浜の上行寺には日荷上人が身延山に仁王像を納めた帰りに持ち帰ったというカヤの木が今も茂っているということです。

 日荷上人は本当に一人で仁王像を担いで来られたのか。どの時代の出来事なのか、三門は幾度かの火災に見舞われているものの、この大きな仁王像が火災の度に難を逃れ続けることが出来たのはなぜなのか等、謎は今も解けないままだそうです。

三門のご開帳日

■三門楼上
身延山久遠寺の三門楼上

 さて、身延山の三門は基本的には8月の7日、旧暦の七夕の日の御開帳となりますが、それ以外ではお寺さんのご紹介や、ある程度まとまった人数での事前申し込みにより御開帳していただけるそうです。また、行事がある際には御開帳されていることもありますので、楼上の扉が開かれているのを見かけた場合はお声をかけてみられてもよろしいかと思います(三門は三門斜め向かいの恵善坊さんの管理です。電話番号0556(62)0078)。

 楼上の御像などは撮影禁止なので、写真をお見せすることが出来ないのが残念ですが、立派な釈尊像の他、ずらりと並ぶ十六羅漢像は圧巻です。是非タイミングを合わせて、お参りいただきたいと思います。俗説ですが、十六羅漢像のうち、一人は自分に似ている顔があるとか。

 また、この三門楼上に至るとっても狭い階段を上る体験をするのも良い経験です。頭をぶつけそうになりながら、身を斜めにかがめて這い上がるように歴史ある建造物に上っていくのはワクワクします。登り切った後の三門の上からの景色は最高です。この眺めを見ながら、お釈迦様と十六羅漢様の前で、執着を捨て、無の心で時間を過ごしてみるのも良いでしょう。

■三門楼上からの眺め
身延山久遠寺の三門楼上からの眺め

たくさんの見所が詰まった三門。くぐるだけではなく、その歴史を楽しんでみてください! 毒消しの護符や解熱の護符もあったりと、お守りも豊富に扱っています!


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身延山久遠寺の三門

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ライター紹介 ライター一覧

ゆる身延

ゆる身延

Facebookページ「ゆる身延」主宰。横浜出身、身延町在住。身内の供養の為に2000年頃より久遠寺に通い始め、不思議な仏縁を得て身延の僧侶と結婚。趣味で行なっていた史跡探訪等の知識を活かし、身延山の情報発信やコラムの執筆などを行なっている。

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