仏塔の風景(長谷川 周)
仏塔の風景―心のふるさとを訪ねて
長谷川 周 著 Amazonで購入 |
お寺に立つ塔を特集した本です。紹介されている塔は78軒! しかも全て国宝・重要文化財指定で、日本にはこんなに多くの仏塔があったのかと驚くほどです。
そして写真の美しさは秀逸です。多くの塔がカラーで載っており、静かな、しかし堂々とした風格が本書にはあふれるほどに詰め込まれています。それはページをめくっているだけでも建築の美しさに見惚れて時間が過ぎてしまうほどです(決して、大げさではありません)。
塔のある風景は、ある意味で日本の原風景と言っても良いのではないでしょうか。京都の街を歩いていて遠めに見える塔の先端や、山寺の奥にひっそりと佇む塔の威容。私は羽黒山の五重塔をいつか見てみたいと憧れていたことがありましたが、杉木立の中で実際に目の前にした時、その屋根や組み物の美しさが輝いて見えるほどでした。
新緑の季節にも、花や紅葉、雪の季節にも変わらずそこに建ちながら、多くの顔を見せてくれる塔。どれもこれもがどこかに懐かしさを感じさせてくれ、本書はそんな塔の一面を描き出してくれています。
当の見方、部位の特徴、歴史、データ。本書を読めば、あなたもきっと塔が好きになるはずです。実は塔はものすごい。あなたも一度、本書を持って塔めぐりに出かけてみてはいかがですか?