大日坊(山形県・出羽三山)の宿坊・精進料理【くちコミ付き】
大日坊
電話 :0235-54-6301 ウェブ :大日坊 住所 :山形県鶴岡市大網字入道11 アクセス:JR羽越線「鶴岡駅」から湯殿山行きバスで48分「大網」下車、徒歩30分 駐車場 :50台駐車可能 時間帯 :チェックイン16時。チェックアウト9時(応相談) |
【宿坊】 一泊二食8500円 予算は相談に応じるそうです。 【精進料理】 |
朝6~7時の勤行、夜18~19時の御祈祷には参加必須です。即身仏や、春日局奉納の大日如来などがあります。料理は地元の山菜を使った精進料理で、夕食にはお銚子付き。昼食・宿泊(5名以上)は、1週間前迄に予約とのことです。
月山ダムを越えてひたすら山道を車で登った先の、湯殿山の中にあります。周りは山と田んぼに囲まれ、ほとんど秘境と言ってもいいような宿坊です。
私たちは団体でしたので、用意された客室は36畳もある大きな部屋でした。そこに布団がすでに敷かれていたのですが、なんと、毛布一面に般若心経が書かれていました。これは寝ているときもお経に包まれていて、安眠(?)できそうです。おかげさまで夜はぐっすり眠れました。
また客室にはテレビと金庫がありました。浴衣は用意されていましたが、タオルやバスタオル、歯ブラシなどは持参が必要です。ちなみにお風呂は男女兼用のため、時間を区切って順番に入ります。3~4人くらいが精一杯の広さですので、人数が多い時には手際よく入りましょう。
客室に荷物を置いて一息つくと、まずは本堂で祈祷が始まりました。外陣に座ってしばらく待つと大太鼓が鳴り響き、鐘やりんの音と共に、5人のお坊さんが内陣へ入場。須弥壇の奥にある幕が上がり、中から本尊お前立ちの大日如来が開帳されます。
その後、お経が唱えられ、宿泊者の住所と名前が読み上げられます。これは参拝者の家内安全・身体健全・諸願成就を祈られているのだそうです。一人一人「○○県○○市、××××、チン」と言った感じで磬(けい)が鳴らされ、なんだかとってもリズミカルです。
またそれらが終わると再びお経が唱えられます。錫杖や太鼓、拍子木が鳴らされ、般若心経が読み上げられるなど、堂内も祈祷のクライマックスに向けてだんだんと熱を帯びてきます。さらに途中で二人のお坊さんが外陣に出て、壁に立てかけられた大きな錫杖をガチャガチャ鳴らし始めます。これがものすごく大きな音なのですが、金属のぶつかり合う音が意外なほどに心地良く、気持ちが洗われる感じがしました。
そして護摩の火が焚かれ、梵天(棒の先にこんもりと紙垂が付いたお加持の道具)が火にかざされます。最後に祈祷が終わるとご住職が私達の前にこの梵天を持って立ち、一人一人の頭をなでてお加持をして下さいました。湯殿山の梵天は住職の説明によると伊達政宗の母が子宝祈願をした際にお祓いをうけたものだそうで、このため正宗の幼名は梵天丸というのだそうです。梵天にはちょっと焦げ臭い護摩の煙に燻されたような匂いがついているのですが、それも何か仏様の守護の力のような気がして心にしみました。
また祈祷が終わると法話があり、大日坊の歴史や宝物の説明、さらには有名な即身仏のことなども詳しく話して頂きました。御札やお供物なども頂戴し、さらに祈祷が始まる前に宿泊者一人一人が数字の付いたこよりを引いていたのですが、ここで大黒様・えびす様が当たるくじも行われました。
法話が終わると、お寺の中を拝観させて頂きました。本堂には飛鳥時代(七世紀)の金銅仏如来立像(重文)や春日局が奉納した文状箱、家康公の位牌、家光が春日局参拝の折に道中守り刀として渡された刀などが展示されています。こんな山深いお寺であっても、さすがに徳川家の祈願寺として栄えたお寺です。見応えのあるものがたくさんあります。
しかしやはり一番の注目は即身仏の拝観でしょう。本堂の横を通り抜けて別室へ案内されると、まさにすぐ目の前に即身仏が鎮座していました。
大日坊の即身仏は、真如海上人というお坊さんです。即身仏とは山形県の庄内地方などで行われた特別な行法で、修行をしながら自らを腐敗しない身体に作り変え、死後も仏としてその身を留める壮絶な信仰形態です。
これは十穀を断って生の木の皮や実、根のみの木喰行で命をつなぎ、腐敗の原因となる脂肪分を身体からそぎ落とします。さらに漆を飲んで体内の細菌活動を押さえて内部からの腐敗も防ぎ、だんだんと塩と水のみの断食に入ってゆきます。その段階も終わると水はけの良い乾燥した高台に穴を掘り、その中に入って土をかぶせます。中には炭などを入れて徹底的に湿気を除き、呼吸穴のみ開けておきます。穴の中では読経だけを繰り返しながら徐々に死に向かい、外からの呼びかけに応じて鳴らしていた五鈷鈴の音が途絶えた時点で入定したと判断し、完全に土で埋めて3年ほど放置します。そしてしっかりと乾燥した時点で掘り起こしたのが即身仏です。
ちなみに「ミイラ」とはポルトガル語のミルラーを語源とし、防腐剤を表すのだそうです。このため生きながらの苦行で身体を作り変えた即身仏と、薬で無理やり腐敗を止めたミイラとは別のものであると、住職は仰っていました。
即身仏の拝観が終わると、庄内三十三観音霊場のお砂踏みも案内して下さいました。こちらには剣を口に咥えた波分不動や縁結びの梵天・帝釈天、女性の頭痛や肩こり、冷え性、夫人病などにご利益がある血の池権現など、他ではあまり見ない珍しい仏様が祀られていました。
拝観が終わると、次は地元の山菜をふんだんに使った精進料理を頂きます。山菜には「いたどり」「うるい」「あかみず」「あいこ」「うど」「こごみ」「ふき」「きく」などが胡麻味噌和えや胡桃醤油和えなどで料理され、まさに色とりどりです。しかもどれも採れたてのため、シャキシャキとしていて植物の味がじわっと噴き出してくるようで、ものすごい美味しさです。
そして最高に美味しかったのが、月山竹。柔らかく煮込まれたり、てんぷらにされていたり。たけのこの甘い味が口の中に広がって、思わず食べきれずに残していた方の分も奪って、食べてしまいました。
他にはご飯、味噌汁、豆腐、漬物、もずくなど、量もたっぷりです。さらに一人一人にお酒が付き、おなか一杯になるボリュームでした。
朝になると、6時30分から祈祷がまたありました。こちらは護摩の火を焚かないなど夕の祈祷よりは簡易的ですが、それでも結構みっちりです。また周辺を散策するとお寺の仁王門には外側に風神雷神がいて、内側に仁王様がいます。ご住職曰く運慶作とのことですが、うーん。本当か? でも阿像は息をはっと吐き出して力を出した瞬間のような、吽像は息をぐっと飲み込んで力を溜め込んだような、どちらもすごい勢いを感じる立派な二王様でした。ちなみにご住職は、この二王様たちはずっとお風呂に入ってないんで、におうんだとも言ってました。
それと大日坊から少し山を登ったところに、樹齢1800年と言われる皇壇杉があります。6人で手をつないでやっと一回りという立派な杉の木で、うねるように伸びた枝が印象的です。近くには弘法大師が護摩を焚いた壇や、廃仏毀釈の時代に大日坊を神社にせずにお寺として守り通しそうとしたことから殺された83代目の住職のお墓など、お寺の方にいろいろと紹介して頂きました。
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