近江・若狭の古寺と仏像(丸山尚一)
近江・若狭の古寺と仏像
丸山 尚一 著 Amazonで購入 |
滋賀県は奈良、京都に次いで、国宝や重要文化財に指定されている仏像の多い地域です。地理的には畿内と東国、北国を結ぶ交通の要衝であり、歴史の上では京都や奈良を支える裏舞台としての役を担ってきました。
また天台宗の総本山であり日本仏教の母とも呼ばれる比叡山のお膝元であることから、天台宗の古刹が多いことも特徴です。全面積の約六分の一を琵琶湖が占め、奈良の都に近い淡水の海という意味から、近淡海(ちかつあふみ)が転化し、近江と呼ばれていました。
若狭は京都の北側、福井県の西南部にあり、古来より大陸からの文化の窓口でした。戦火を逃れた文化財がたびたびこの地に運び込まれ、今でも多くの古仏が残っています。奈良との繋がりも深く、東大寺の春を呼ぶ行事として知られる「お水取り」は、若狭の遠敷明神(おにゅうみょうじん)が香水を献上した伝承に由来し、この地ではお水取りに先駆けて「お水送り」が行われます。
本書ではこれら近江、若狭の古寺について、伝わる仏像を一つ一つ取りあげながら解説しています。滋賀県の仏像をこれほど詳しく、カラー写真もふんだんに用いて紹介している書籍は珍しく、情報不足のため足を踏み出しにくかった滋賀県への足がかりとなる一冊です。
延暦寺、三井寺、西教寺、長命寺、永源寺など、宿坊のあるお寺も多数紹介。美しい仏像の写真は、じっと見ているとそれだけで旅情を掻き立てられます。
神秘の国、滋賀県。あなたもこの本を手にとって、古寺を旅してはいかがでしょうか。