THE 狛犬!コレクション―参道狛犬大図鑑(三遊亭円丈)
THE 狛犬!コレクション―参道狛犬大図鑑
三遊亭円丈 著 Amazonで購入 |
三遊亭円丈さんの狛犬本です。と書くと、落語家が趣味で出した本とあなどられるかもしれません。しかしこの本は円丈さんが落語家でなかったとしても、きっと世に出ていたでしょう。そういう本です。
ある時ふと狛犬に目覚めた円丈さんが狂ったように巡り続けた神社の数は、全部で二千数百社。東京23区の縮尺一万分の一地図に載っている神社は全て制覇し、千葉、埼玉、神奈川をそれぞれ五百社。そして日本全国に渡って狛犬を求めて歩き続け、数千枚を越す狛犬の写真と銘文を記録しながら独自のデータ考察が行われました。
本職は別のところにありながら、独自に狛犬研究家として飽くなき探求を続ける姿には、どこか私も共鳴を受けるところがあります。そして本職は新作落語の鬼才と呼ばれるだけあって、そのネタの豊富さ、視点の独自性には目を見張るものがあります。落語家でない狛犬研究家には、きっと見抜けないようなネタさえあったりします。
普段は何となく素通りし、気まぐれに写真を撮ったりしている狛犬。しかし一歩視点をずらしてみれば、そこには時代時代の流行廃り、地方による特色、名工達の息遣い、そしてそれぞれの狛犬達の並々ならぬエピソードが秘められているのです。
タレントや有名人が書いた本に対しては、どこか私は懐疑的なところがあります。特に知識を求めて読む場合には、その傾向が強いです。しかしこの本については間違いなくおすすめです。
覗き込んでみれば深淵な狛犬ワールド。あなたもその魅惑の世界を、じっくりと覗いてみてはいかがですか?