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成田山新勝寺(千葉県 成田駅)の阿字観・写経会・寺修行体験【くちコミ付き】

成田山新勝寺

基本情報

成田山新勝寺(千葉県 成田駅)

電話  :0476-22-2111(代表)
ウェブ :成田山新勝寺
住所  :千葉県成田市成田1
アクセス:・JR成田線「成田駅」下車、徒歩10分
     ・京成本線「京成成田駅」下車、徒歩10分
駐車場 :あり
【断食参篭】
3日間まで5000円
(以降1日1000円加算)
【阿字観】無料
【写経会】
初穂料『般若心経』2000円
『御宝号』1000円
【水行】

特記事項

 断食参篭(だんじきさんろう)は2泊3日~6泊7日の断食修行です。阿字観(あじかん)は弘法大師が日本に伝えた真言密教の瞑想法で、修法道場で指導して頂くことが出来ます。水行は成田山水行作法により、井戸水で身を清めます。写経は毎日8時~15時まで随時受け付けており、初心者は写経作法も指導して頂くことが出来ます。


地図


ほーりー記

成田山新勝寺の断食参籠道場

 成田山で2泊3日の断食を行ってきました。

 予約は電話で行いますがもともと定員が多くなく、また時期によって人気が集中するようで、私は3週間後でお願いしたら断られ、結局1ヶ月以上先になりました。

 また予約時には様々な注意が言い渡されます。健康診断と持ち物についてが中心で、初日は朝8時20分までに指定のクリニックまで行くこと(クリニックへの予約は断食道場が行って下さいます)、持ち物は必要なものが洗面道具、着替え、タオル、ボールペン黒、水筒か空のペットボトル。持ち込み不可なものが、水、薬、タバコ、テレビ、ラジオ、パソコン、携帯でした。特に携帯は(持ってくる人が多いためでしょうが)念を押されて注意されます。持っていくと道場に入らせて頂けないようなので、うっかりバッグに入っていたとかないように気を付けましょう。

 なお、予約時の電話では特に話はなかったですが、私が実際に断食を行った感想として、貴重品を入れて持ち運べる小さなバッグ、気持ち悪くなった時用のビニール袋、それに折り畳み傘があると便利です。私は傘は持っていましたが、後の2つは滞在中になくて不便に感じたものでした。

 それと持ち物ではありませんが、道場に入るときに万が一のために保証人の連絡先を提出します。しかし携帯電話が持ち込み不可なため、ちょっとヒヤッとしました。もしも連絡先を携帯でしか覚えていない方がいたら、事前に控えていった方が賢明です。

 そして当日はまず指定された藤倉クリニック(成田山のすぐ近く)へと行きます。健康診断は尿検査、血圧測定、聴診器による診断がありました。そして同意書を書いて終了です。同意書は自分自身の判断と自己責任において断食参籠を行うことの確認が求められ、そちらに署名しました。

成田山新勝寺の断食

 その後、成田山新勝寺の断食道場へと入ります。断食道場は総門を入って境内の右手側にあります。入り口で声をかけて入らせて頂くと、最初に滞在中の規則や様々な注意事項が説明されました。

 朝の護摩祈祷や15時のお勤めを除き、断食中は成田山の境内から出なければほぼ自由行動です。ただし水は少しずつこまめに飲むようにと指導がありました。また飲めるのは指定された井戸水のみで、渡されたシートに飲んだ時間と回数を記録します。その他の注意事項としては、昼は寝ないで日の光を浴びる、道場の外に出るときは電気を消す、貴重品は自分で持ち歩くなどがありました。

 そして一通りの説明が終わると、あとは15時までひたすら自由時間です。断食道場は男女で建物が別れており、男性の部屋は8畳間が3つ連なった和室です。目覚まし時計(部屋で一つ)とハンガー、スタンドライトなどがあり、等間隔に布団が5つ並んでいました。そのうちの一つに渡されたシーツと枕カバーをしいて、自分の布団にします。

 また廊下には仏教関連の本も置いてありました。そして大小用のトイレが一つずつあり、洗面所があります。なお、女性の部屋も(聞いたお話では)もう少し狭いですが、基本的にはあまり変わらないようです。

 私が入った時は、初日は男性は私のみで、女性は3人いました。そのうちの2人は私と同じ日に入りましたが、もう一人はすでに3泊過ごされていたそうです。ですが辛いですかと聞いたら、本を読んでも集中力が全くないけど、それ以外は意外と平気というお話でした。ただ、その女性も本当は友人と一緒に入ったものの、その方は体調が悪くなって途中で帰られたとのこと。断食中の体調は人によっても大きく変わるようです。

 それと男性用の部屋は、歌舞伎の十二代目市川團十郎も修行時に使用したと、後からですがお坊さんからお聞きしました。「成田屋」の屋号が示すように市川家と成田山は深い関係にありますが、この部屋を使っていたのかと思うとちょっと感激します。

 断食の説明も終わり、10時前には自由時間が始まったので、私は境内をぶらぶら散歩して過ごしました。

 成田山は重要文化財の仁王門や三重塔、釈迦堂、額堂、光明堂など、多くの貴重な建築物があります。また成田山の歴史資料が展示されている大塔や三つの池がある成田山公園、書道美術館など一日、二日歩いていても飽きることはありません。断食なのでのんびり歩いて、疲れたら戻るという繰り返しが良いと思います。

成田山新勝寺の観光ガイド

 それとちょっとオススメなのは、境内を案内して頂けるボランティアガイドです。都合に合わせて1~2時間で成田山の見どころを解説して下さいます。予約なしでも受け付けて下さいます(忙しくなければ?)ので、ご興味ある方は本堂近くにある案内所に問い合わせてみて下さい。私はお願いしたところ、他の団体ツアーに混ぜて頂く形で説明をお聞きすることができました。

 また断食日数が進み、長く歩くのがしんどくなってきた時は、仏教図書館も楽しいです。私はここで大好きなお寺の情報誌『月刊住職』を読みふけっていました。

 そして15時に道場に戻り、夕のお勤めに参加します。お坊さんが日替わりで来られ、一緒に般若心経や不動明王真言などを唱えます。お経の意味を解説して下さったり、お寺や仏教のことなど質問にも答えて下さるなど、楽しい時間でした。

 その後はまた、ひたすら自由時間です。18時からは道場外に出るのも禁止なため、布団の上でごろごろしながら本を読んで過ごしていました。そして22時消灯です。

 翌朝は4時30分頃に起床し、身支度を整えて5時に集合です。断食指導者が前日の水飲み表を確認し、問題なければ5時30分(夏時間)から始まる朝の護摩に参列します。また写経を行いたい方はこの集合時に断食指導者に申し出ます。

成田山新勝寺の境内

 成田山の大本堂で行われる護摩は、30人ほどのお坊さん(最年少は中学生! だそうです)がお経を唱える迫力あるものでした。中央の護摩壇で護摩の炎が燃やされ、お経や真言などが唱えられます。ただ普段は心地良さそうな大太鼓の大音量は、空っぽの胃袋をびりびりと揺さぶってちょっと苦しかったです。また、護摩の途中でお坊さんが、炎にバッグや財布をかざしてお清めして下さいます。希望される方はお勤めにいく時、バッグなどを忘れずに持っていくといいでしょう。

 そして護摩祈祷が終わった後は、お手綱参拝があります。これは須弥壇に上がり、ご本尊と結ばれているお手綱に触れてご縁を頂くというものです。お勤めが終わったかなと思ってささっと帰ってしまうと見逃してしまいますので、案内があるまで少しゆっくり待ちましょう。

 大本堂から帰った後は、またひたすらに自由時間です。私は写経をお願いしていたので、12時に来るようにと言われていました。12時に集合場所に行くと断食道場の隣にある建物へと案内され、写経の説明を受けます。まず最初に塗香で身を清め、用意されている輪袈裟を首にかけ、そして写経です。

成田山新勝寺の写経室

 書写したお経は般若心経でした。お手本の上に半紙を乗せ、筆で上からなぞる形式で写経します。硯を洗うのが大変になるため、墨汁は控えめに出すようにと注意がありました。

 一通りの説明が終わると指導者は出て行き、あとはゆっくり写経します。所要時間は1時間ほど。私が写経した時は他に誰もいなかったので、一人で静かにお経を書き写しました。そして書き終えたら床の間にかけられている不動明王の掛軸の前にお納めして、写経室の後片付けをして終了です。ちなみに写経料は無料ですので、興味のある方はぜひ体験してみて下さい。

 また私の2日目ですが、15時からのお勤めはありませんでした。日によって(指導されるお坊さんの都合によって?)省かれることもあるようです。そして2日目も後は散策したり、本を読んだりしながら過ごしていました。この時点ではあまりお腹がすいたという感覚もなく、意外と快適に過ごしていました。

 しかし体調が一気に変わったのは、その日の真夜中です。なかなか寝付けずにいましたが、急に気持ち悪くなり、トイレで(胃が空っぽなので)胃液を吐きました。その後吐くだけ吐いて寝たら少し楽になりましたが、翌朝のお勤めはちょっとふらふら状態です。

 それでもどうにかお勤めを終え、感想文を書いて全日程が終了です。3泊以上する方は最後にお粥が出ますが、私は2泊3日でお粥がないため、そのまま帰宅しました。ちなみにお粥を頂いた方にお聞きしたところ、お粥、焼き味噌、梅干し、番茶などが出たそうです。

 途中までは余裕と思いながら、最後は一気に苦しくなった断食参籠。3日間を通して自分の身体が何でできているかということが、少し感じられた気がしました。食を絶っても意外と動けること、しかしだんだんと力が抜けていくこと、さらに急激な体調変化など、生命の動きを実感した3日間。貴重な体験になりました。

 また、帰りの電車の中でもちょっとふらふらしていましたが、家に帰ってお粥を食べ、半日寝たら一気に回復しました(翌日はカルチャーセンターでの講師がありましたが、普通に歩き回っても大丈夫でしたし)。さらに私は左の脇辺りに湿疹ができることが多いのですが、断食後に見るとそれがきれいさっぱり消えていました。さらに妻からは「びっくりするほど肌がきれいになった」と言われ、断食にはデトックス効果があると言われますが予想以上で驚きました。

 断食は年間500人くらいの方が行い、リピーターも多いようです。大変な体験のため誰にでもというわけではありませんが、機会があれば挑戦してみるのも良いと思います。


ほーりー記

成田山新勝寺の数息観密教座禅

 数息観密教座禅を行ってきました。数息観密教座禅は阿字観の入門体験編といった形で、阿字観本尊の掛け軸を前にして、呼吸に意識を置いた座禅を行います。

 数息観密教座禅の定員は10名です。ただし事前予約時に聞いた話では、8名までなら良いのですが、残りの2名はちょうど柱のある場所に座ることになり、体験中はちょっと窮屈とのことでした。

 実際に行ってみると、そこまでやりにくくはなさそうですが、確かに少し窮屈かもしれません(すみません。私は柱のない場所で、のびのびやらせて頂きました)。ちなみに10名以上であれば、他の会場を準備頂けることもあるようです。

 その他、予約事に聞いた注意事項としては、ゆったりとしたズボンをはいておくことと、香水などは控えるようにとの2点がありました。

 予約時間に参籠堂に伺うと、お坊さんが迎えてくださり、隣にある修法道場へと案内して頂けます。そこでまずは参加者の名前や住所など、参加申し込み用紙に記入して提出します。

 その後、堂内に入って法話。成田山新勝寺は京都の智積院を総本山とする真言宗智山派に属していることなど、お寺の歴史や沿革がお話されました。そして実際に数息観密教座禅の説明をして頂きます。

成田山新勝寺の数息観密教座禅

 まずは阿字観本尊の前で金剛合掌して礼拝。金剛合掌とは単に両手のひらを合わせる合掌ではなく、右手指が上になるように手を組む形で指を伸ばして合掌します。そして右ひざ、左ひざ、右手の甲、左手の甲の順に畳につき、頭を床につけて両手を軽く持ち上げます。この五体投地の礼拝を、三回繰り返します。

 その後、坐蒲の上に腰を下ろして半跏座の形で座ります。最初に3回鼻から吸って口から息を吐きます。一回目は胸の中の悪いものをしっかりと吐き出すように。二回目はお腹の中の悪いものをしっかりと吐き出すように。さらに三回目は身体中の悪いものを吐き出すように。

 それが終わると今度は鼻でゆっくりと呼吸するようにと教えられました。最初のうちはお坊さんが数を数えてそれに合わせ、そのうちに自分で数えながら呼吸をしていきます。

 実際に座っていたのは15分くらいでしょうか。最後にまた五体投地をして終了です。参加された他の方はもう少し座っていても良かったかなと話していましたが、初めての方にはそのくらいがちょうど良いのかもしれません。無理なく気持ちよく座ることができました。

 そして最後にもう一度、法話がありました。内容は今ここに自分がいること自体が奇跡だということ。多くのご先祖様がいて、自分が生きているのだというお話でした。全て終わってお堂を出るときには、指導して頂いたお坊さんと少しお話しする機会がありましたが、子供の頃からこの新勝寺で修行を続けているとのこと。指導中は威厳を感じましたが、終わって雑談になるとほがらかで、魅力的なお坊さんでした。


編集部レポート

成田山新勝寺の平和大塔

 写経体験は、平和大塔の1階で毎日開催されています。写経には般若心経と御宝号写経があります。申込用紙に記入して、受付で用紙と初穂料を払います。初めての場合は作法を説明をしてくださいます。納経カードを頂きますが、次回持参すると納経帖が授与されるそうです。

成田山新勝寺の写経受付

 まず、道場の入口で身体を浄めます。右手の人差し指と親指で塗香を少し取って左手の薬指の付け根に置き、両手にすり広げ、体にも広げて身を浄めます。そして合掌一礼して入場します。

 席には写経用紙と硯、墨汁、小筆、輪袈裟、作法次第が置かれています。輪袈裟は寺紋が首の後ろにくるようにかけ、ご本尊の不動明王様に三礼(さんらい)します。

成田山新勝寺の写経道場

 椅子の後ろに立ち、合掌した右手を手前に少しずらし、右の親指を左手の親指の上に重ねて真言を一返唱えて軽く膝を曲げます。これを三返行い、礼拝します。作法次第がありますので、見て行うと安心です。

 着座し、作法次第の開経偈・真言を黙読し、手の平を上に向け、左下、右上にして軽く親指をくっつけ、背筋を伸ばし手をおへその下に置きます(法界定印)。深く息をして、心を落ち着け、写経開始です。

成田山新勝寺の写経机

 私は般若心経(278文字)を選びました。初心者の方は書き終わるのに90分から180分かかるそうです。説明もあるので余裕を持って参加されるとよいと思います。

 写経用紙にはお手本が薄く下書きされているので、なぞっていきます。一文字一文字書写するのに集中しました。ひたすらに写経を書写する時間が清々しいです。

 最後に日付と名前と住所を書き、お願い事を記します。般若心経はお寺に納経することでご先祖様の供養ができます。合掌して祈念、普回向を黙読し、三礼をします。道場の奥に祀られている不動明王様の前に浄写した写経用紙を納経し、終了です。小筆は持ち帰ることも出来ます。

 私が写経体験をしたのは12月で少し寒かったのですが、道場入口付近にひざ掛けが用意されていて自由に使用できるようでした(私は終わった後に気付きました・・)。お白湯やお水も自由に飲めるようになっています。

 成田山新勝寺では、写経体験が毎日8時から16時(最終受付15時)まで開催されています。毎月28日はお不動様縁日写経のお勤めがあり、午前10時より僧侶による読経や法話が行われています。いつでも都合の良い日に写経体験ができますので、ご興味のある方は体験されてみてはいかがでしょうか。


体験者の声

 由緒あるお寺で、観光客もたくさん来ます。修行中は参籠堂に滞在し、写経や読書(仏教書物)をしながらすごします。また、修行三日前から滅食期間があり、これを経ないと嘔吐を催すこともあるそうです。基本的には朝の掃除、朝護摩以外は自由行動で境内を歩き回れます。境内には屋台が並んでますが、自己責任ということでした。


体験者の声

 成田山の断食参篭修行には二宮尊徳(金次郎)、市川團十郎などたくさんの有名な方が参加してきた歴史ある道場です。参篭道場の隣には、実際に二宮金次郎が一週間の断食を行ったとき、水行を行った水垢離場もあります。

 予約と事前準備

 参篭には事前に電話予約をする必要があります。成田山のウェブサイトに修行の概要が掲載されていますので、そちらを確認の上電話でしてください。私は2名で2泊3日の日程で参加しましたが、断食はあくまで不動信仰による個人の修行ということで、団体は基本的に受け付けていないようでした。

 断食修行をするには、減食といって少しずつ食事を減らす必要がありますが、2泊3日の場合は数日前から少しご飯を減らすくらいで良いとのこと。実際にもちょっと食べる量に気を付ける程度しかしませんでした。基本的に断食する日数、事前の減食が必要だそうです。1週間入る場合は入念な準備が欠かせないでしょう。

 持ち物ですが、ケータイや雑誌の持ち込みはもちろん禁止です。また食事ができないので常用薬も持ち込みはできないのでご注意ください。また宿泊する部屋には冷暖房器具がほとんどないため、暑さ寒さ対策には万全の用意をする必要があります。冬は毛布を持ち込むのも良いでしょう。夏でもお風呂には入れず、洗面所で水タオルで体を拭くくらいしかできません。また、毎朝護摩に参列することになるので、輪袈裟や念珠を持っている場合は持参しましょう。道場に用意がないため、傘も必須です。

 断食中は脱水症状にならないように大量の水を飲むよう指導され、ヤカンと湯のみを渡され所定の用紙に何杯飲んだ記録して毎朝提出します。ところが自由時間に境内を移動するときには、水を持ち歩く手段が用意されていません。ペットボトルでも構いませんが、できれば水筒を持っていくと良いでしょう。

 修業について

 修行開始当日には朝8:30~9:00に近くの病院で事前の検診を受ける必要があります。予約はお寺のほうでしてくれているので、直接病院にいきましょう。尿検査や聴診器での簡単な診察でした。終わったら即道場へ向かいます。

 断食道場は成田山の山門をくぐってすぐ右にあります。二階建てのなかなか立派な建物です。係員の方(お坊さんではありません)に説明を受け、書類手続きを行います。成田山の道場では、基本的に朝の掃除と護摩参拝以外は完全な自由時間です。境内をでなければ何をしていても構わないとのこと。もっぱら広大な境内を散歩したり、仏教図書館や書道美術館を見学するのが良さそうです。

 基本的なスケジュールは以下のような感じでした(3月末の場合)。

 5:00 起床
 5:30 掃除
 6:00 護摩参拝
 ~自由時間~
 9:00 掃除
 ~自由時間~
 22:00 就寝

 希望すれば水行や写経や数息観という瞑想をすることもできるようでしたが、事前の申込みがないと指導ができないようでしたので私はやりませんでした。もしこれらの修行をしたい場合には、電話申込みの段階でよく相談しておくほうが良いでしょう。普通はお経の読み方の指導が受けられるようでしたが、私が僧侶ということもあって無しでした。

 手続きを終えたら、部屋に移動して荷物を置きます。その日は雨が降っていたため境内の掃除などなく、およそ朝の9時頃から消灯の22時まで完全に自由時間でした。前日にあまり寝ていなかったこともあり、部屋で読書をする以外はほとんど寝て過ごしました。

 2日目は朝起きると、境内の掃除と護摩参拝です。掃除は道場裏手にある墓地に落ちた葉っぱをホウキとチリトリで拾い集める程度(およそ15分)。終了後、護摩参拝のため成田山の巨大な本堂へ向かいます。靴をビニール袋に入れて外陣に座り、今月の標語を説明するお坊さんの話(二日とも同じ内容でした)に耳を傾けつつあたりを見回すと、20人ほどの参拝客が来られていました。しばらく経つと雅楽がスピーカーから流れ、ちょっとビックリするくらいたくさんのお坊さんが入堂してきました。護摩の導師をされるご住職さまをはじめ、30人はいたでしょうか。読経は30分ほど。経頭さん(お経のリーダー)のマイク越しの読経がキンキンと響き、いささか耳が辛いというのが正直なところです。

 お参りも終わる頃になると、だいぶ断食の影響が体調に現れるようになってきます。一緒に断食した方は1日目は元気に散歩をしたそうですが、2日目には朝の護摩参拝から気分が悪くなり、係員の方の暖かい部屋で少し休ませていただいたりしました。私も外を出歩くほど元気ではなく軽い頭痛があったため、夕方に少し散歩した以外は部屋で読書していました。

 3日目は朝起きて、掃除、護摩参拝ののちに9時までに部屋を開けることになっています。空腹で体がフラフラするものの、掃除、お参りをしたのち、荷物をまとめて係員の方に退出の挨拶をして帰宅しました。

 しばらくは動物性のものは避けなるべく消化に良いものを食べるように言われましたが、帰り道にコンビニでこんにゃくゼリーや食パンを買って食べました。断食期間が長い場合はしばらくお粥や重湯で過ごす必要があるようでしたが、2泊3日ではとくに必要ありませんでした。

 感想

 退堂の時に係員の方に聞いたところ、断食は2、3日目が一番辛く4、5日目になると断食に慣れて、体がスッキリしてくるとのこと。そして断食するなら1週間でなければ意味がないとも仰ってられました。そこまでやると色んな変化が起こるようで、なかには花粉症が治った方もいるんだとか。

 私の実感としても、肉体的な空腹感というよりもむしろ、精神的な空腹感が大きかったように感じました。3日間通して肉体的な空腹感は通底音のようにずっと静かに感じてはいたものの、体に大きな影響が出るというほどではありません。力が入らずあまり動き回れないなぁという程度です。ところが精神的な空腹感の影響を感じることはとても大きく、本を読んでいてもほとんど集中できませんでした。

 また食事の時間がいかに1日のリズムを作るのに重要かというのも感じました。食欲を満たし体を動かすエネルギーを与え、また親しい人と会話をする時間がないと、なんとなく朝起きていつの間にか午後になりあっという間に夜を迎えてしまうことになります。

 断食道場としては、自由時間が多くお坊さんと接する時間もないため、ちゃんと指導を受けて修行をしたいという方にはあまり向いていません。瞑想やお寺で特別な体験がしたいという方は、お坊さんから直接全般的に指導が受けられるところを選ばれると良いように思います。

 また、断食をするにも目的にあった手法を選ぶべきです。一口に断食と言っても、フルーツだけ食べたり、栄養ドリンクだけは飲むなど様々な手法があるようです。成田山ではまったく何も食べず、水だけを飲むという伝統的な「修行としての」断食です。完全な絶食型の断食は体への負担が大きいため、健康面で心配がある方はより近代的な施設で行うのが良いでしょう。医師同伴だったり栄養士の定めたカリキュラムによって行う、「医学的な治療としての」断食を受けることもできるようです。

 たった2泊3日ではあったものの、約60時間何も食べないというのは生まれてはじめての経験です。肉体的にも精神的にも食べ物を食べることの大切さを感じる3日間でした。普段は見えない自分自身の本質が飢餓状態になることで、少し見えたように感じます。


体験者の声

 2011年8月、私(男30歳、一般人)5泊6日で断食参籠修行に参加しました。ここでは既体験者の声に重複しない内容のみご案内します。

■断食参籠寮設備(女性は別館)

・24畳の大広間で最大6人の相部屋
・文机6つ(一人に1つ)
・目覚まし時計2つ(全員で共有)
・枕、枕カバー、敷布団、敷布団カバー、厚手の布団、毛布、薄手の毛布(一人1セット)
・ハンガー(一人に1・2個)
・うちわ10個程
・天井吊下げ電灯3つ(二人で1つを共有)
・壁時計1つ
・体重計1つ
・壁掛け鏡1つ、小置き鏡1つ
・仏教系本30~40冊
・ベープ蚊取りノーマット1つ
・物干しざお3本、洗濯機1台(室外)

■事前の準備

・毛布の持参は不要と思われる。(冬場に寒がりの人は必要か)
・朝護摩に参列時の輪袈裟や数珠も特に必要ではなさそうです。(他の参列者は、ほぼ持参なし)
・持参すると便利な物
 ・文庫本(お寺側では、文庫本程度の“音の出ない物”は、特に厳しくない。持ち物のチェック等はない)
 ・耳栓(近所の居酒屋で騒ぐ声やイビキ対策)
 ・蚊取り線香(夏場、蚊がやたら多い)
 ・殺虫剤 or 新聞紙(ゴキブリが多い)
 ・枕(人にも依るが、支給される枕はかなり硬め)
 ・500mLのペットボトル(身近に水を外気に触れずにキープ可能)
 ・ティッシュペーパー(何かと便利)

■事前検診

・健康保険証は使えない。
・検診前に小便をしない。(検尿があるので)

■修行

・男性寮は若干木陰に入り、夏でも風通しがよく、幾分か涼しい(蚊も多いですが)
・私の頃は、9:00の掃除はなく、15:00から勤行があった。
・水道の水は1~2分流し出してから、飲み水にした方が良い。
・1日に水2L(湯呑茶碗20杯)飲むよう勧められるが、飲みたい時に飲みたい量を心がけて多く飲む方が良いと思われる。
・はっきり言って、退屈である。(私は「竜馬がゆく(司馬遼太郎)」5冊を持参したので、有意義に時間を過ごせました)
・頭の回転が鈍り、集中力も激減します。
・夜中、ねずみが屋根裏を駆け回り、不気味であり、耳障りである。
・支給される布団等一式はあまり清潔ではなさそうである。(特に冬場でキレイ好きな人は、入堂後、早く晴れの日に外で干した方が良さそうである)

・最終日、退堂前に、希望者はお粥をお寺からご馳走してもらえます。


体験者の声

 先日、2泊3日で断食参籠修行に参加してきましたので、その体験談をお送りします。だいたいのことはすでに既体験者の方々が投稿されていますので、重複しない程度の投稿になります。

●予約及び事前準備

 予約は電話で行います。予約をしてすぐ明日から修行に入れるというものではなく、電話予約してから一週間(5日間だったかもしれません)は準備期間として修行に入ることはできません。またシーズンにもよると思いますが、定員が5名(男性)ということもあり、自分は電話予約してから2週間後にやっと開始できました。したがって、私と同じように仕事の合間に行こうと思ってらっしゃる方は、事前のスケジュール調整が重要になるかと思います。

 持参品などの事前準備ですが、修行であるため、携帯はもちろんのこと、本や資料なども本当は持ち込み禁止です。ただし、後述のように18:00から翌朝まで建物から出ることができないため、本当に暇になってしまいます。したがって自己責任で本などは持参したほうがいいかもしれません。

 その他では電話予約の際にも教えてくれますが、入浴できないためタオルは多めに持っていくことをお勧めします。ちなみにトイレはウォシュレット完備。

●修行当日~

 当日は朝8:30までに指定の病院で健康診断(尿検査あり)を受けたのち、だいたい9:30ぐらいから成田山で断食修行の説明を受けスタートとなります。ちなみに健康診断は保険適用外のため、値段は3,170円。

 当日以外の基本的なスケジュールは以下。

 05:00~05:30:起床及び準備
 05:30~06:00:清掃(お墓のまわり)
 06:00~07:00:御護摩祈祷の見学
 13:00~14:00:各種コンテンツ体験
 15:00~15:30:僧侶による説法など
 18:00~22:00:参篭堂(宿泊施設)での自由時間
 22:00~05:00:就寝

 ※合間はすべて自由時間

 各種コンテンツ体験とは、座禅や写経などその他の修行コンテンツのことで、自ら申請して条件が合った場合のみ体験できます。時間はその日によって前後します。座禅は密教座禅のみの参加者がいた場合にのみ、合わせて参加可能。写経は事前に申請していれば体験可能です。写経のみを体験した場合2,000円かかりますが、断食修行中は無料ですのでお勧めです。また説法は堅苦しいものではなく、お坊さんと少し雑談をした後、みんなで念仏を唱えるというもの。

●全体的な感想

 完全に個人的な感想ですが、最近何事にもあまりやる気が起きないなあという人は2泊3日ぐらいの体験をお勧めします。きちんとルールを守っているとかなり抑制されるので、たった2~3日の修行でも終わったら「これやりたい」「あれやりたい」という気持ちが湧いてきます。単に体験しに行った自分でもそのような気持ちになるぐらいなので、テンションを上げたいと思ってらっしゃる方は是非。自分を見つめなおしたり、体質改善など根本的にいろいろリセットされたい方は5泊6日を体験されてみては。



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