至福の湯宿(丹羽尚彦)
至福の湯宿
丹羽尚彦 著 Amazonで購入 |
「いちばん大切にしたのは、湯宿の自然体の姿を伝えること」 書き出しにあるこの言葉が、本書の全てを物語ります。
画一的なサービスではなく、人間味に溢れた湯宿。それはオーナーの個性であったり、シェフのこだわりであったり。古民家を移築した木の温もりであったり、上質な湯の香りであったり。
さらには静かに過ごす時間であったり、眺めのいい露天の景色であったり。
取材に当たって「特別なサービスをしないように」とお願いし、宿泊客の立場で宿を紹介している本書は、まるで自分が宿泊しているかのような目線で文章が書かれています。そしてふんだんに盛り込まれた写真の数々。見ているだけでため息が出る、温泉と料理のオンパレード。
実は筆者の丹羽さんは、私と同じくホームページでデビューしたライターさんです。インターネットではタビエルという名前で活躍し、そのサイト『タビエルの宿』では、本書と全く同じコンセプト(というより、本書が全く同じコンセプト)で、日本中の温泉宿を紹介しています(ちなみに初めて知り合ったのは、まだお互い本を書くなんて思ってもみない時でした)。
温泉もここまでいくと体験です。日本文化の伝統が、凝縮されたみやびな時間がそこにある。鋭敏に空気を嗅ぎ取れば、きっと新たな旅空間が広がることでしょう。
紹介された湯宿は東日本の38件! 夫婦や恋人と旅行をするときに温泉宿を外したくないあなたには、この本がおすすめです。