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身延山久遠寺のお参り時に泊まりたい、歴史が詰まった旅館3選

 皆さまこんにちは。身延在住のゆる身延です。今回は身延山門前町にある老舗旅館、旅館山田屋さん、いさご屋旅館さん、田中屋旅館さんのご紹介です! 身延山には多くの宿坊と共に古くから親しまれてきた旅館があります。

 この門前にある3つの旅館はそれぞれ個性があり、身延山の歴史が感じられる魅力がたっぷり詰まっています。是非皆さまにも身延山の旅館の魅力を知っていただけたらと思います!

久遠寺の棟梁によって建てられた『旅館山田屋』

身延山の旅館山田屋

 門前町の仲町無料駐車場のすぐ近くにあるのが旅館山田屋さんです。身延駅からのバスや新宿からの高速バスが停まるバス停も目の前にあります。

 身延山の旅館はどちらも歴史が古いのですが、山田屋さんは室町時代から久遠寺の棟梁職を努めてきた池上家が明治8年の大火の後、再建した居宅を旅館としたものだそうです。

 山田屋さんからは久遠寺の住職である法主(ほっす)を3人も輩出していることからも、久遠寺とのご縁の深さが分かります。

 久遠寺の棟梁の居宅だっただけあって、建物の至る所に細やかな細工が見られ、戸の多くに一枚板が使われています。最上階の桐の間の天井は御廟所の常唱殿と同じ造りになっています。

■客室
身延山・山田屋旅館の客室

 しかも贅沢なのは、1フロア1組で泊まれるということ。良心的な価格で昔ながらの名建築をゆっくり堪能出来ます。山田屋さんという建物の持つ魅力を肌で感じながら、身延山の歴史に思いを巡らせるのも素敵な時間です。

 お食事も京都出身という奥様が素材を活かした、身体に優しいお料理を提供されています。温かいものは温かく、冷たい物は冷たく、食べやすいお料理を意識されているそうです。

 お風呂は2箇所ありますが、身延山の清らかな水を沸かしたお湯は身体が温まるとご好評いただいているそうです。

■廊下
身延山・山田屋旅館の廊下

 「身延の家に帰ってきた」と思えるような宿、というコンセプトのもと、最初のコミュニケーションとして電話での予約時のやりとりを大切にしているということから、予約は電話受付のみとなっています。初めて身延山に泊まるという方など、ご不明な点は色々お聞きしてみると良いかもしれません。

 また、山田屋さんで忘れてはならないのがお隣に併設されている喫茶室園林です。京都の名店イノダコーヒーの本格的なコーヒーが味わえる他、名物のハンバーグカレーにはファンも多く(かくいう私も大ファンです!)、ご主人が全国のカレーを食べ歩き、たどり着いたという味わいは絶品。

 小麦粉を一切使わず、富士桜ポークと国産玉葱を使用。インド人の友人から仕入れるというスパイスの香りは、程よくその存在感を感じさせてくれます。

 また、地産の名物料理の杜露里湯葉丼は、たっぷりと湯葉を使用した贅沢な一品。最後まで飽きがこないようにと工夫された薬味とともにヘルシーながらも満足感があり、お勧めです。

■杜露里湯葉丼
身延山・山田屋旅館の杜露里湯葉丼

 喫茶室もご参拝の楽しみのひとつとして、お気軽にご利用下さい。

 旅館山田屋 (0556-62-0046)

 一泊2食12300~13600円(税込み、季節、曜日変動なし)。素泊まり、片泊まりのご利用も可能です。詳細はお問い合わせ下さい。freeWi-Fi完備。

遊郭を移築し、文化財指定されている『いさご屋旅館』

身延山のいさご屋旅館

 身延山で唯一宿泊できる国指定登録有形文化財・いさご屋旅館さんは、門前町から東谷方面に日朝通りを入ってすぐの場所にあります。

 建物の特徴的な形から、日朝通りを入ると目に飛び込んできます。それもそのはず、富士宮にあった「富士宮御殿」と呼ばれた建物を移築したもので、木造3階建ての建物には二階と三階の窓の外に刎高欄(はねこうらん)が設けられ、この建物が遊郭であった名残を感じさせます。

 宗教の聖地に遊郭の建物を? とお思いの方もいるかとは思いますが、昔の大きな寺社仏閣の門前には岡場所(非公認の遊郭のようなもの)などがあるのは全く珍しいことではありませんでした。まして、当時は火災で燃えた門前町に全国からたくさんの信者さんが泊まりに押し寄せてくる中、旅館の再建は急務だったことでしょう。そこで一から建築し直すよりも、部屋数もあり、しっかりとしたこの建物に白羽の矢がたったのだと思います。事実、文化財に登録するにあたり行われた調査でも、梁などが多すぎるくらい入れられて、堅牢な作りであることが再確認されたのだそうです。

■細工窓
身延山・いさご屋旅館の細工窓

 いさご屋旅館さんは外観ももちろん素敵なのですが、玄関に足を踏み入れるとまず足元のタイル細工の細かさに目を奪われ、時を経た木造建築の雰囲気に期待が高まります。二階に通されると廊下には様々な下地窓の細工が見え、各部屋にも網代に組んだ天井や欄間、障子の組子など、見所がたくさんです。

 部屋や廊下は広いとは言えませんが、それはこの建物が遊郭であったことにより、リアリティを持たせているようです。他の歴史の勉強の延長でもともと遊郭などについて学んだことのあった私としては「くぅ~!」と、ついついうなりそうになります。

■客室の床の間
身延山・いさご屋旅館の客室

 木造の3階建の旅館というだけでも珍しいのに、当時の雰囲気を残しながら今まで存在しつづけてくれたことに感謝したくなる建物です。一般のご観光の方はもちろんですが、建築物や遊郭に興味のある方などには特にお勧めのお宿です。ただし! 移築前は遊郭でしたが、今は聖地である身延山のご参拝の方を受け入れているお宿であることはどうかお忘れなきようお願い致します。

 建物は見てみたいけれど、昔ながらのお部屋に泊まるのには少し抵抗がある、という方は新設されたバストイレ付きのベッドのお部屋もありますので、ご安心下さい。お部屋のお風呂にも緑が見える小さな窓がついていて、ホッと一息できますよ。

■新設された客室
身延山・いさご屋旅館の新客室

 ちなみに、大浴場には身延産の竹墨が入れられており、竹墨は塩素を取り除き、お湯を弱アルカリ性にしてくれるので、お肌に優しく、遠赤外線効果で体の芯まで温まるそうです。

 お食事は、女将さんと若女将さんが心を込めて作られた地元の食材を使ったお料理や湯葉などがいただけるそうです。私も以前炊き込みご飯をいただいたことがありますが、美味しかったです!

いさご屋旅館 (0556-62-0028)

 一泊2食付き9000円、ベッドのお部屋は10000円(税込み。曜日や季節による変動なし。大晦日から三が日はおせち料理になるため+1000円)。素泊まりも可能です。freeWi-Fi完備。

レトロな味わいに包まれた『田中屋旅館』

身延山の田中屋旅館

 田中屋旅館さんは現在の御当主で11代目になる旅館です。今回ご紹介する三軒の旅館の中でも最も三門に近く、参拝に便利な場所にあります。

 門構えの雰囲気も素敵なのですが、内部も昭和のくつろぎ感をコンセプトにしており、清潔感のある館内は暖かみのある照明で照らされています。ロビーは畳敷きで、館内は廊下も含め、裸足で快適に過ごせるようになっていることもこだわりのポイントとのことでした。

■客室
身延山・田中屋旅館の客室

 お部屋は和室がメインですが、女性が一人でも安心して泊まれるようにと若女将が考慮して作ったという鍵がかかる小上がりのお部屋があったり、二間続きになっているベッドのお部屋もあったりとお部屋タイプは色々選べます(是非ホームページをご覧下さい)。

■客室
身延山・田中屋旅館の客室

 落ち着きのある個室は、身延山参拝のお籠もりステイにもってこい! という感じです。また、お部屋は昔ながらのタイプですが三階には三門が近くにのぞめる部屋があり、日蓮宗の信者さんなどはこちらの部屋を指定される方も多いとのことでした。

 館内には昔ながらの旅館の良さを感じられる美しい細工が施された和室や窓もあり、昔の職人さんのセンスと技が光ります。また、身延の竹炭や西嶋和紙のライトなど身延の名物がさりげなく飾られています。

■細工窓
身延山・田中屋旅館の細工窓

 お風呂はご参拝の方に少しでも日常の疲れを癒やしていただきいと、人工ラジウム鉱泉となっています。リュウマチ、神経痛、冷え性、肩こり、腰痛、疲労回復等に効能があるそうです。菩提梯を登って疲れた足腰にはもってこいです(西谷を登っても、東谷を登っても、足腰が肝心な身延山です)。

 フロントの奥には立派な大黒様が鎮座して、たくさんの観光パンフレットや日蓮宗関連の本(ゆるキャンも)を手にしながらロビーの椅子にゆっくりと腰掛けていると、この旅に福がもたらされるような気になって来ます。

 田中屋さんは「宿坊はちょっと敷居が高いけど、身延山には泊まってみたい」という身延山ビギナーの方にもお勧めのお宿だと思います。

 田中屋旅館 (0556-62-1035)

 一泊2食付き14300円~17600円(税込み。曜日や季節により変動あり)。素泊まり片止まり、お弁当のみも可能です。freeWi-Fi完備。

まとめ

 地元に住んでいるとなかなか宿泊することはないので、今回私も初めて身延山の旅館に潜入取材させていただきましたが、身延山の旅館は古き良き日本の建築を残した身延の財産だと思いました。

 身延山の門前町は谷間ですので、景色が良いわけではありません。天然温泉があるわけでもありません。けれど、昔ながらの人のあたたかみがあります。身延山と門前町に対する旅館のご主人、女将さん方の熱い思いに触れ、汗をかきながら働かれている姿を見ているからこそ、余計そう感じるのかも知れません。

 しかし身延の旅館には、他の観光地とは大きく違う点がひとつあります。それは身延山がただの観光地ではないという点です。信仰熱心な方々が全国からお参りにいらして下さる場所です。その方々に失礼であってはならないとする心。身延山という聖地にお参りをされる方をおもてなししようとする心。身延山という土地を守り続けなければならない責任。そのような心が旅館に表れていると思います。是非、一度身延山の旅館へ泊まってみてください。

 もちろん、普通のご観光の方も安心してお泊まりいただけます! 宿坊ではなく旅館ですから、お部屋でのお時間はゆっくりとリラックスしてお過ごし下さい。身延での時間が皆さまにとって快適なものになりますよう、私も願っています。

 なお、宿泊料金、その他情報は予告なく変更になることがあります。最新情報は公式のウェブサイトや各旅館へのお問い合わせなどでご確認ください。


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ライター紹介 ライター一覧

ゆる身延

ゆる身延

Facebookページ「ゆる身延」主宰。横浜出身、身延町在住。身内の供養の為に2000年頃より久遠寺に通い始め、不思議な仏縁を得て身延の僧侶と結婚。趣味で行なっていた史跡探訪等の知識を活かし、身延山の情報発信やコラムの執筆などを行なっている。

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