征夷大将軍坂上田村麻呂がこの地で玉袖という女性を奥方に迎え、いよいよ出産という時に産屋を覗くなと言われたものの、いつまでも出てこない玉袖が心配になり中を覗くと、三十メートルはあろうかという大蛇が横たわっていたという伝説があります。正体を見られた玉袖は赤子（後の俊光）を残して袖ヶ浦へ消えてしまいます。

　そして成長した俊光は母の姿を知らない事を悲しく思い、母に姿を現してもらうために十七日間参篭します。すると満願の夜に雷鳴轟く豪雨の中に母が現れ、「玉袖の　かわく間もなし　ここに来て　われ母ならば　子安をぞいのる」と言って姿を消しました。

　この母の姿を写し取ったのが、岩水寺の地蔵菩薩です。このため岩水寺のお地蔵様は女性とされており、子宝や安産に功徳があると云われています

　岩水寺の安産祈願は1200年伝わる秘中の秘と云われる祈願で、お地蔵様（お比丘尼如来）のお腹を借りて出産するという意味があります。

　また境内にある田村将軍神社は坂上田村村麻呂をお祭りしており、玉袖姫との恋の話から縁結びの神様と云われています。境内を掃除する、ゴミを持ち帰る事により将軍様が感謝し、お地蔵様（玉袖姫）が良縁を恵んで下さると云われています。