お香が好き(吉田 揚子)
お香が好き。にほんの香りを楽しむための便利帖
吉田 揚子 著 Amazonで購入 |
お香の香りって、何かほっとしませんか? お寺に入った時にほのかに漂う香の匂いも良いですが、私は高野山のお香屋で受けた衝撃は、未だに忘れられません。
わずかにつんと来る心地好い刺激と、それに続く柔らかな甘さ。DNAの奥に踏み込んでくるような安らぎには、しばし心が止まったほどです。アロマテラピーも良いですが、日本人にはお香こそが合うんだなと感じた瞬間でした。
しかしそれから2年。本屋に行ってはお香の本を探していたのですが、今ひとつぴんと来るものがない。しかし諦めかけて、忘れかけてもいたころ、ついに目に飛び込んできたのが本書でした。
この本は、お香を生活に取り入れるための入門書です。それも飛び切り楽しく分かりやすい! 例えば折れて短くなったお香の使い方とか、灰を温めてお香を焚く時、炭を浅く埋めると良いとか、ごくごくちょっとしたことまで丁寧に書かれているので、初心者でも本当に一人で出来てしまいます。そして本の端々から伝わってくる著者のお香が好きという気持ちは、読んでいて気持ちが良いほどです。
お香の基礎知識、使い方、グッズ、ワンポイントアドバイス……。かわいいイラストや写真も交えて、種類ごと、シチュエーションごと、読んでみればきっと試してみたくなるでしょう。私も早速、手軽な塗香(ずこう)を試してみました。
匂いは人の記憶に残りやすい刺激の一つでもあります。同じ香りをかいだときに昔の記憶がふっとよみがえる。筆者はそれを、記憶を運ぶタイムカプセルと表現しています。
生活にお香を。あなたも本書で日常の片隅に、記憶のタイムカプセルを置いてみてはいかがですか?