徳川家康が産土神（うぶすながみ）として崇めた古社です。境内には三代将軍家光が再建した社殿（重文）が建ち並んでいます。

　主祭神は塩土老翁命（しおつちおじのみこと）で、この神様は山幸彦が兄の海幸彦の大切な釣り針をなくしてしまった時に、綿津見神（わたつみのかみ）のもとへ向かう道を示して助けた、海路の神・導きの神です。『日本書紀』では神武天皇の東征にも助言しています。

　そして潮の干満は出産にも関係し、「海」は「産み」に通じることから、安産の神様として信仰されています。

　また神前結婚式も受け付けられています。斎館では結婚披露宴も行うことができます。

　平日に訪れたこともあり、境内はひっそりとしていましたが、権現造りの立派な建物が圧巻でした。写真は楼門ですが、本殿・幣殿・拝殿と鮮やかな朱塗りで、きらびやかな社殿が並んでいます。どれも重要文化財に指定されており、ここは隠れた名所かもしれません。

　そしてここは安産の神様でもあります。

　塩土老翁命（しおつちおじのみこと）と言えば、宮城県塩竃市の塩釜神社が有名ですが、こちらのご由緒書きを読むと「奥州塩竃六所だ御明神を勧請」とあり、この塩釜神社の六所宮の神（のうち、猿田彦命・塩土老翁命・事勝国勝長狭命）を祀っているそうです。

　境内には『安産祈願絵馬掛』と『安産御礼絵馬掛』がありました。安産祈願の絵馬掛けも結構珍しいですが、安産御礼専門の絵馬も、さらにはその絵馬掛けというのも初めて見ました。

　ここはやはりしっかりとお願いし、安産が叶ったらお礼参りもかかしてはいけないということでしょう。