きれいな心のつくりかた(石崎貴比古)
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『きれいな心のつくりかた』、タイトル通りの内容です。ただこのテーマでお坊さんが書いた本はたくさん読んでいますが、神道視点で(スピリチュアリストではなく、神主さんが)書いたものは珍しいと手に取りました。
著者の石崎貴比古さんは、茨城県・常陸国総社宮の神職です。私も何度かお会いしたことがありますが、神様の近くで過ごされているためか、落ち着いた物腰ですがとてもはつらつとされていた所作が印象的です。
そんな方が書かれた本には、きれいな心をつくる上で何が示されているのか。私が面白いなと感じたのは、生活にメリハリをつけることでした。
仏教(特に禅宗など)ではどちらかと言えば、感情に起伏を作らず日々を一定のリズムで過ごすことが重視されています。しかし神道では「穢れ(けがれ)」という考え方があります。これは生活の中で自然と身についてしまうもので、6月と12月に大祓(おおはらえ)の神事を行うことで半年ごとの穢れを祓います。
また神道では自然の恵みをとても大切なものと捉えており、季節ごとにお祭りが行われたり、ごちそうやお酒を頂くことも重視しています。他にも人生儀礼を丁寧に行っており、子どもの成長を祝う行事はたくさんあります。突き詰めていえば四季がある日本だからこそ、そのサイクルに合わせることが必要だったのかもしれません。
そして石崎さんはこうした考えを取り入れ、大切な時には勝負服を着ることや、思い入れのあるものにはお金をかけること、定期的に家を掃除することなどを心をつくる方法として挙げていました。
他にも「言霊(ことだま)」という考えから、できるだけきれいな言葉を使うこと。「常若(とこわか)」という考えから古くなったものは捨てること、「中今(なかいま)」という考えから、今を精一杯生きることなどもあります。
神道は明確な教えがなくて分かりづらいと言われることもありますが、日本人が大切にしてきた生活習慣に寄り添ってきたものです。そこには日々をよりよくしていくヒントが、きっとたくさん見つかりますよ。