住職はシングルファザー(池口龍法)
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お坊さんが発行するフリーペーパー『フリースタイルな僧侶たち』の仕掛け人であり、仏像をドローンに乗せて極楽からのお迎えを表現したり、菩薩をモチーフにしたお寺アイドルをプロデュースするなど、数々の斬新な企画を生み出してきた異色の僧侶・池口龍法さんが書かれた本です。
注目を浴びる活動の裏で奥さんと離婚し、そこから始まるお子さんたちとの生活について、その奮闘ぶりが語られています。
というか、ものすごく生々しい話です。お寺という特殊な環境に入った奥さんとお坊さんのすれ違いが広がっていく話は、実際にほーりーの周りでも何度か聞いている話です。そしてその時の状況や心情について良いことも悪いことも赤裸々に世に出してしまうあたりが、池口さんらしい気がします。実際にこの本の元になる連載が公開された時は炎上状態になっていましたし。
ただシングルファザーというと孤独な存在のようにも思われますが、お寺を取り巻く方々によって助けられ、暖かな輪がつながっていく様子が見て取れるのもこの本の特徴です。住職でありシングルファザーであり、活動家でもあり一人の人間でもあり。そんな池口さんのひたむきさや弱さがさらけ出されているからこそ、周りには多くの方が集ってくるのかもしれません。
そして池口さんが住職を務める龍岸寺は浄土宗のお寺ですが、ご本尊の阿弥陀如来は「弱くても大丈夫」と苦しみの中にいる人を救ってくださる仏様です。大変な状況の中にいるからこそ池口さんもより強くこうした教えが響いてくるのでしょう。本書にはそれが様々な箇所に書かれていました。
この本は読む方によって、全く異なる感想を持つのではと思います。人によっては仏教書として、別の人には人間ドラマとして、さらに現代のジェンダー問題を考える材料にもなりますし、お寺社会の構造を知る手がかりとしても学びの多い一冊です。
ちなみにほーりーは僧侶婚活も企画している人間なので、お坊さんと女性の出会いをどのように生み出していくかを考えるヒントになりました。
そんなわけでいろいろ衝撃的な一冊ですが、お坊さんの体当たり人生に興味を持たれた方は手に取ってみてはいかがでしょうか?