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三宝院(和歌山県・高野山)の宿坊・阿字観・写経会【くちコミ付き】

三宝院

基本情報

電話  :0736-56-2004
ウェブ :三宝院
住所  :和歌山県伊都郡高野町高野山580
アクセス:南海高野山ケーブル「高野山駅」下車、「蓮花谷」バス停下車、すぐ
一泊二食
9500円~(税込)

特徴・見所

 弘法大師の母親が高野山のふもと九度山の慈尊院に住み、一宇を建立したのが始まりで、後に高野山内に移された歴史のある宿坊です。重要文化財である「北面大師」は一見の価値があります。また敷地内ではモリアオガエルの産卵が見かけられ、6月にはヒメシャガが満開を迎えるなど、豊かな自然環境にも恵まれています。

 住職は正式な求聞持修行を成満された方です。求聞持とは虚空蔵求聞持法とも言い、真言を百万遍唱える弘法大師の原点ともなった行です。こちらの住職は50日間阿波の太龍寺にこもり、一日一食で2万遍(全体で百万遍)真言を唱え続けて行を成し遂げました。これは最後には13kgも体重が落ちるほど過酷なものだったそうです。宿坊ではこの極限の境地を知っている住職から、丁寧に阿字観や写経(要予約:阿字観3000円、写経2000円)の指導を受けることができます。

 またこの宿坊では活発な活動もされており、様々な音楽家を招いて定期的にコンサートなども開かれています。


地図


宿坊から

 弘法大師のお母様ゆかりの当院では、その母子の情にちなんでお盆の時期に水子供養祭を執り行っております。恒例となりました声明コンサートは、中秋の名月に合わせて、境内で開催されます。秋になると、謡曲に「紅葉三宝院」と謳われた紅葉が大変見事です。お母様のお名前を冠した当院名物の銘酒『玉依御前』も、ぜひ一度ご賞味ください。


ほーりー記

 三宝院は高野山の街の中心部から、少し奥の院側に向かった道筋にある宿坊です。二本松藩主・丹羽家の家紋が描かれた提灯が掲げられた門をくぐり、趣のある玄関に入ってチェックインを行います。そして中へと通されたのですが、まずはその客室のすごさに圧倒されました。

 今回は上段の間というちょっと特別な部屋に宿泊させて頂いたのですが、目の前に臨紅庭(りんこうてい)という庭園がどんと構えています。広く取られた錦鯉の泳ぐ池に、隅々まで手入れされた木々。しかも上段の間は本堂のすぐ隣、他の部屋とは少し離れた位置にあります。ここに宿泊すると、まさにこのお庭を独り占めできてしまう豪華さなのです。

 しかも昼でも素晴らしかったのですが、夜の美しさは格別。なんと特別に庭園をライトアップまでして下さいました。これはやばすぎます。美味しい精進料理を頂きながら、目の前に浮かぶ光の楽園。こんな幻想的な宿坊はここだけかもしれません。食事が終わった後は縁側まで出て、椅子に座りながら庭園を眺めていました。ぼうっとこの陽炎のような世界に浸っていると、ほとんど時間が止まったようでした。

 ちなみに上段の間は8畳和室が二間続き。ふすまには様々な水墨画が描かれています。このふすまもなかなか面白い絵ばかりです。それと上段の間に限らないでしょうが、タオル、バスタオル、浴衣は備え付けられています。また部屋の中には扇風機があり、お茶とお茶菓子(高野山の銘菓・みろく石)が用意されていました。ただ宿泊したのは9月下旬で扇風機を使うような季節ではなく、夜になったら宿の方が気を利かせて暖房を出して下さいました。

 夕食の精進料理も豪華です。メニューは鍋(えりんぎ、サトイモ、豆腐、白菜、湯葉、柚子)、わさび醤油のごま豆腐、山芋が乗ったお麩のしぐれ煮、かぼちゃ、高野豆腐、こぶ、ちまき、ゆば、さやえんどう、抹茶塩で頂く精進てんぷら(レンコン、オクラ、ミョウガ、エリンギ、にんじん、かぼちゃ、さつま芋)、すだちの香りが漂うにゅうめん、デザート(梨、巨峰)、御飯、酢の物、香の物です。鍋は優しい味でほっこりと温まり、精進てんぷらやごま豆腐など、精進料理の定番メニューも美味しかったです。

 またここでおすすめしたいのが、三宝院限定銘酒の『玉依御前』です。玉依御前は高野山を開いた弘法大師の母親で、息子を案じて80代半ばで四国から高野山(当時は女人禁制のため、ふもとの慈尊院)へとはるばる旅をして移り住んだ方です。秋になると里で採れた穀物のもみを一粒一粒爪で剥いて醴酒を醸し、大師はこのお酒を爪剥酒(つまむきのさけ)と号しました。

 高野山では今でも毎年旧暦の三月二十一日(弘法大師御入定日)になると、この爪剥酒を御影堂に奉納していますが、この役目を担っているのが三宝院です。そして今回頂いた『玉依御前』はこの爪剥酒にちなんだお酒で、特別な加持がされています。味は甘くて飲みやすく、日本酒が得意でない方でも美味しく飲めると思います。

 さらに食事後にお風呂に入りましたが、三宝院はお風呂も特別製でした。浴槽には「サイエンス・セラミック」が使用されていますが、これは半導体の特性を持った特殊な塗料などで酸化還元力を高めた新しいセラミックで、有機物・微生物を分解・殺菌し、電位的に水を中和して疲れを癒すことができます。腰痛・肩こり・関節痛・足腰の冷え・筋肉のつり・血行不良・水虫・痔・夜尿症・アトピー性皮膚炎などの方はお試し下さいとの説明書きがありました。

 またお風呂の中はシャワーが二つ(男性用)でしたが浴槽は広く、リンス&シャンプーとボディーソープが用意されていました。ゆったりと足を伸ばして入ることが出来、サイエンス・セラミックのおかげ(?)か、とても気持ちが良かったです。

 翌朝のお勤めは6時から本堂で行われました。外陣で座って待っていると、鐘が何度も叩かれて4人のお坊さんが内陣へと入堂します。そして薄明るい灯篭がびっしりと釣り下がった本堂の中で、お坊さんたちの声明が響き渡りました。また途中でお坊さんが一人外陣に出て来られ、錫杖を鳴らされます。宿坊の宿泊者も一人一人順番にお焼香を行いました。

 またこのお勤めに参列すると、非公開の北面大師(重要文化財)が拝観できます。本堂の右側奥の厨子に安置されていますが、静かに坐り、三鈷杵を胸の前に持ち、そしてわずかに右側に顔を向けて前を見つめています。その涼やかながら強い意志を感じる視線が印象的でした。この北面大師は人の幸せを祈って北側(京都)を向いているのだそうです。

 お勤めが終わると朝食でしたが、ごはん、みょうがとわかめの味噌汁、がんもどき、切干大根、なめこの酢の物、漬物(梅、きゅうり、きゃらぶき)、味のりが出ました。特に美味しかったのが切干大根で、じんわりと染み出す味が絶品でした。

 朝食の次は阿字観体験をさせて頂きました。用意されたお部屋で待っていると最初に三宝院の住職が来られ、阿字観の説明をして下さいました。阿字観の「阿」の字(の梵字)は、子を親が支えたような形をしているというイメージで覚えると良いとお話され、書き順などを教わります。阿字観は月の中に蓮に乗った阿の字が描かれた掛け軸を前に置き、坐って瞑想します。ですので、阿の字の形もイメージしやすいように覚えておくと良いそうです。

 阿字観は最初に加持を行います。火を焚き、水で清め、加持をするための棒を使って住職が複雑な作法を繰り返します。この辺はしばらく見ているだけですが、間近でこうした祈祷を見ることはめったにない機会ですので、とても興味深く見させていただきました。

 そして阿字観体験者はスリランカの丁子を口に含み、塗香を手のひらでもんで身体にすり込み、身を清めていきます。阿字観はお加持をした部屋の隣で行いましたが、一人一人が坐る座布団の横にはろうそくの火が灯されています。ろうそくの火を使った阿字観は初めてでしたが、とてもおごそかな気持ちになりました。

 また阿字観は座禅と同じ坐り方で、半跏坐で足を組みます。そしてここでは特に呼吸について丁寧に指導して頂きました。胸も腹もぺったんこになるくらい深く息を吐き、そして吸います。息を吐いた時と吸った時は、最後に少し止めるようにとのことでした。これは慣れれば20秒くらいとのお話ですが、初心者にはそこまで止めるのは無理です。ですがそんなに厳しく指導されるわけではないので、出来る限りで行っていけば良いかと思います。またその他には目の前の阿字観本尊に描かれた金色の阿の字を、頭のてっぺんから胸に入れるようにイメージすることも教わりました。

 そして阿字観が終了すると、あとはチェックアウトするだけですが、しばらくうろうろと宿坊の中を探検してみました。廊下には三宝院が掲載された雑誌が置いてあったり、お洒落なロビーがあったり、江戸時代くらいに使われたであろう駕籠が吊るされていたりなど、宿坊の中を歩き回るといろいろと楽しめます。宿坊の方(実は宿坊サミットなどでいろいろとお世話になっている方もいます)もすごく親切な方ばかりで、本当にステキな一泊二日の滞在でした。


宿泊者の声

 高野山上に着いたのは昼過ぎ。まず三宝院さんに荷物を預けてから、金剛峯寺・壇上伽藍・霊宝館をまわりました。根本大塔では外国のTV局が取材に来ていました。前に来たときは見つけられなかった「三鈷の松」の三本の松葉を今回はGET! 7時からのコンサートのため宿での夕食が5:30からなので、時間を気にしながら見て回りましたが、5時前にはチェックインできました。

 三宝院の「中秋の名月チャリティーコンサート“月光無尽 音まんだら”」は阪神・淡路大震災の犠牲者追悼の意味で始められたとのことですが、9・11のテロや世界中の戦争や内紛などの絶えない現在、天空のすべての御霊に捧げるという趣旨で毎年行われ、今回で5回目になるそうです。

 月夜にお寺のお庭で二胡と声明のコラボレーションという、じつに私好みの組み合わせでとても楽しみにしていましたが、期待どおり、いえ、それ以上の素晴らしさでした。本堂の縁には、震災で被害に遭った神戸・西宮・宝塚のお寺+東寺から来られた12名の僧侶がズラリと並び、ウェイウェイ・ウーさん(とても魅力的な女性でした)の二胡の音色と声明が見事にからみあい調和して、荘厳かつ幻想的な時空間を創りあげていました。

 微妙な音の揺らぎがいいですね~。声明のソリスト(と、言うのか?)いい声で聞き惚れました♪

 後半は二胡にギターの伴奏がついて、スカボロ・フェアーや蘇州夜曲などよく知られた曲のほかに、ウェイウェイ・ウーさんのオリジナル曲も。とても素晴らしい演奏に、自然にアンコールを求める拍手が起こっていました。コンサートのあとは、お茶とお菓子でゆっくりと。重文の北面大師像も拝ませていただきました。本堂の上に皓々と照る月、九月の高野山の夜を渡る風、心に沁みいる音楽と声明、何もかもが素晴らしく心に残る一夜となりました。感謝!

 翌朝は5:30に放送があり、本堂で6時からお勤めに参加できます。自由参加ですが、ほとんどの宿泊客が参加されていたようです。

 高野山で宿坊を利用するのは初めてでしたが、三宝院さんは皆さん大変柔和でご親切で、コンサートのあれこれでめちゃくちゃお忙しいのでしょうに、ニコニコと笑顔で対応してくださり気持ちよく過ごさせていただきました。チェックアウトまでに、とお願いして預けていた朱印帖は朝食時に受け取りましたが、ご住職が疲れ果ててヘロヘロの状態で書いたとかで字もヘロヘロで、曰く「近来で最高の出来!」だとか・・・(*^.^*)。ユーモアもおありです。

 お食事は大広間で精進料理をいただきました。夕食には精進揚げやお鍋・和え物など、もちろんゴマ豆腐もついています。朝食は飛竜頭が味がよくしみて美味しうございました。お風呂はセラミック温泉で24時間いつでも入れるとのこと。16時チェックイン、10時チェックアウト。浴衣・フェイスタオル・歯ブラシセットは用意されています。

 二日目は奥の院にお参りして、お土産に絵心経の手拭いを買って帰宅しました。


宿泊者の声

 高野山で年越しをしてきました。

 4時過ぎ頃三宝院さんへ。お風呂に入って一息つくと食事になりました。2の膳まであり、とても美味しいご飯でした。接待してくれた若いお坊さんが、お話の上手な方で興味深いお話をしてくださいました。

 今回お世話になった三宝院さんと一緒に高祖院と書かれてあったのですが、何故2つの名前が書かれているのか説明してもらいました。火事などで焼失した時に、ご本尊様と過去帳などをお預かりして復興するまでご供養されているそうです。後、高野山では〇〇院と書かれているのが多いのですが、〇〇寺と書かれているのが2つ位しか無いそうです。それは、高野山全体が金剛峰寺で1つ1つの〇〇院は塔頭だからそうです。

 9時過ぎに龍光院さんで松明に火を点け、壇上伽藍を練り歩く行事がある事を教えてもらいました。食事の時には雪が降っていて、お坊さんが言うには年末からお正月が一番良い時だと仰っていました。時期に相応しい状況になるとも仰ってました。

 食事の後は龍光院さんへ向かいました。お庭で待っていると、世話役の方に声を掛けて頂き囲炉裏のある部屋に通してもらい、お茶とお菓子、甘酒をご馳走になりました。僧侶と世話役、宿泊者、松明を見に来た他の宿坊に泊まっている参拝者で、祭壇の前でお経を唱えてから松明に火をつけ、御幣を持って壇上伽藍を練り歩きました。雪が降る中での練り歩きで、とても神秘的でした。

 三宝院さんに戻り、年越しそばを頂きました。暫くすると午前0時に本堂に移り、新年の法要。お護摩も焚き火の側まで行って、お参りをしました。横向き大師を拝観をすることも出来ました。

 法要の後は土室の部屋(囲炉裏)に移り、“後夜祝い”が執り行われました。“後夜祝い”は松三宝の儀 戴き餅の儀 お屠蘇の儀があります。

 「松三宝の儀」は御住職が若いお坊さん、宿泊者、お寺に従事されている方に 昆布 勝ち栗 お米を1人づつに配って下さる行事です。年神様を迎える行事だそうです。「戴き餅の儀」は、御住職と1人づつ鏡餅を持ち上げ、おでこに当てます。大きなお餅から命を頂く意味があるそうです。「お屠蘇の儀」は御住職が1人づつにお屠蘇を注いで下さいます。

 “後夜祝い”は昔は何処のお寺でも行われていたそうですが、今では三宝院さんしか行われないそうです。最後に昆布茶とお菓子を頂きながら、御住職のお話を聞きました。すべてが終わったのが3時過ぎでした。流石に眠くて部屋に戻り寝ました。

 朝起きてお庭を見ると真っ白、一面雪景色でした。雪のお正月は初めてで、とても感動しました。

 朝食はお節を頂きました。お正月はごまめや棒鱈があり、精進料理では有りませんでした。白味噌仕立てのお雑煮も頂きました。とても美味しかったです。

 御朱印を頂きに寺務所に行った時に、私が「高野山に来ると何時も天気が崩れるんです」と話したら、「雨の日(この日は雪)はお大師様が奥の院にいらっしゃるんですよ、ご縁があるのですね」とお話をして下さいました。嫌だと思っていた天気の崩れも、ありがたく思いました。

 三宝院さんに泊まって感じたことは、若いお坊さんがとても気さくで、きびきびと立振舞い、気遣いの行き届いた、とても気持ちの良いお寺さんという事した。

 食事の後、三宝院さんを後にして、高野山散策に出かけました。外に出ると本当に一面雪景色でした。雪の奥の院は、前日とはまったく違う景色でした。昨夜お坊さんが言っていた「年末からお正月の高野山が1番いいですよ」と仰った意味が、良く分かりました。

 奥の院では温かいしょうがの効いた甘酒を頂きました。寒い日にとてもありがたい一杯でした。その後、雪景色をした金剛峰寺 壇上伽藍 大門をまわりました。壇上伽藍ではしょうの効いた葛湯を頂きました。こちらもありがたい一杯でした。


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寺社旅研究家のほーりーが立ち上げた、宿坊研究会の編集部。日本全国300件以上の宿坊を紹介し、宿泊者の体験談も多数掲載! 全国の座禅会・写経会・精進料理などの寺社体験もレポートしています。