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駒場瀧不動尊(宮城県伊具郡)の寺修行体験【くちコミ付き】

駒場瀧不動尊

基本情報

電話  :0224-72-6003(兼FAX)
ウェブ :駒場瀧不動尊
住所  :宮城県伊具郡丸森町字不動59
アクセス:阿武隈急行「丸森」駅下車、タクシーで15分
【霊山峯入り修行(山伏修行体験)】
参加費用3000円

特記事項

 毎年5月下旬の日曜日に霊山峯入り修行(山伏修行体験)が行われます。参加希望者はメール等で連絡をすれば日程の決まる4月頃に連絡を頂け、その後に参加可能であれば申し込みをします。


地図


体験者の声

 駒場滝不動尊所属の山伏です。ここで行う峰入り修行は福島県の霊山(りょうぜん)という山で行われます。険しいコースを歩く訳ではありませんが、満行した時の晴れやかさは格別です。


体験者の声

 駒場山愛敬院の霊山峰入り修行について
駒場山愛敬院弟子 秀光
一、初めに

 霊山峰入り修行の体験記を述べる前に、峰入り修行の意義と修行道場となる霊山について若干記させていただきたく存じます。

<峰入り修行について>

 峰入り修行(入峰修行-にゅうぶしゅぎょう、山林抖そう修行-さんりんとそうしゅぎょう、とも言う)は修験道の根本修行の一つで、険しい山岳を歩いて苦労に耐え、心身を鍛え、悟りに近づいて仏の境地を得る修行です。また、山を母体とみなし、母親の胎内に入り、胎児が成長し出生することになぞらえ、新たに生まれかわる(擬死再生-ぎしさいせい)という思想も併せ持っています。

<霊山という山について>

 福島県伊達市と相馬市の境にある阿武隈山系の山です。標高は八百二十五メートルで、奇岩が聳える山です。平安時代初期に慈覚大師円仁様が開山されました。『霊山(りょうぜん)』の名は、お釈迦様が説法なされたというインドの山、霊鷲山にちなんで付けられました。円仁様がこの山に『霊山寺』を建立され、東北における天台宗の布教の一大拠点として繁栄いたしました。

 下って南北朝時代、時の陸奥国司北畠顕家は霊山寺の伽藍を要塞化し、霊山城として義良(のりよし)親王(後の後村上天皇)を奉じて霊山を陸奥の国府としました。

 しかし、正平二年北朝方との激しい戦いの末霊山城は落城、併せて霊山寺も滅亡しました。以来、今日に至るも霊山寺、霊山城ともに学術的な調査もなされることもなく過ぎています。

 前置きが長くなってしまいました。では霊山峰入り修行へご案内いたします。

二、霊山峰入り修行

 五月下旬のある日曜日、駒場滝不動尊の霊山峰入り修行の日です。朝、不動尊に三々五々参加者が集まってきます。トレパンにハイキングシューズの人、白装束に地下足袋の人、勿論山伏装束の人もいます。

 本堂前で受付となります。略袈裟と奉冠(八尺の晒ですが中央に不動明王の梵字が書かれています)を貸し出され、峰入り修行の心得帳、名札等が渡されます。山伏衆に手伝ってもらい、奉冠を頭に巻きます。八尺という長さは八葉蓮台に擬しており、不動明王が八葉蓮台を頭上に頂くのを模しています。略袈裟を着け金剛杖を持てば修行者に成り切ります。

 住職の短いあいさつの後、本堂に向かい出立の勤行となります。心得帳の中に勤行で唱える御経や真言等が載っているのですが、慣れないとうまく唱えることが出来ません。

 霊山登山口まではマイクロバスで向かいます。車中で住職による峰入り修行の意義、十界修行、六波羅蜜の実践などの説明があります。小一時間程で霊山登山口に到着。駐車場で円陣を組み準備体操し、自己紹介、登山上の諸注意などを行い、いよいよ出発です。

 山伏衆の吹く法螺貝の音が峰々にこだまします。登山道はよく整備されていて、歩き難くはありません。道横の沢に小さな滝が掛り、深山(みやま)の風情を醸し出します。

 歩き始めて三十分程で見下し(みおろし)岩に到着。ここで山中最初の勤行を行います。そして今回一番の行である『覗きの修行』を行います。見下し岩の突端から上半身を空中に吊下げられ懺悔させられるという、修験道では御馴染の修行です。目の下は百メートルの絶壁。登山口駐車場の自動車が小さく見えます。

「日々精進するか!」
「親を大切にするか!」

 問者が大声で詰問します。こちらは恐怖心の中で「はい、はい」と答えるだけです。

「声が小さい!」

 更に身を空中に突き出されると、思わず悲鳴を上げてしまいます。

 岩鼻から引き上げられて一安心。次の行場である籠り岩不動尊へ向けて出発です。山襞を縫う様に道が付けられ、大きな回遊式庭園を歩いているようにも思われます。籠り岩不動尊は、岩を大きく穿ち、その奥に線刻の不動明王が祀られています。かつてここで二十一日間の断食修行を行った修行者がいたそうです。

 籠り岩不動尊を発つと、次第に勾配がきつくなります。五百羅漢岩を過ぎ、望洋台に至ると相馬沖の太平洋が望めます。蟻の戸渡りは北側が切り立った細い岩尾根で怖々歩きますが、山伏衆は平然と進みます。一旦下って登り返すと学問岩、その上が霊山最高点の東物見岩になります。ここからは東から北にかけて展望が得られ、太平洋、仙台湾、牡鹿半島、仙台市街から蔵王連峰が望めます。

 東物見岩からしばらく下ると三度目の行場の天狗相撲場に着きます。天狗相撲場は二坪程の岩が岩に囲まれた谷に突き出ており、周囲が断崖絶壁になっています。山伏衆が岩の上で吹く、法螺貝の音が周囲の岩に心地良く響きます。

 断崖を穿った道を辿ると『護摩壇』につきます。足元は断崖絶壁、目の前には吾妻、安達太良の大パノラマが広がります。岩場を歩き、雑木林を進むと礎石の残る国司舘に着きます。その一段上が四度目の行場となる霊山城跡になります。

 城跡は広く、大きな『義良親王』碑などがあります。お昼時近くということもあって、多くのハイカーが休んでいます。過去の峰入り修行で置かれた多くの木札のある祠跡に向かい勤行するのですが、この頃になると御経にも慣れ声が出るようになってきます。御腹も空いてきました。

 「昼食休憩」の声にホッと一息。三々五々散開し、お弁当を広げます。ある山伏衆のお弁当は精進料理? いえ、小さめの御握り一つとミニカップ麺。それとお茶を一杯。「出立用意」の号令で後片付けし、集合します。

 午後は雑木林の中の道を進みます。満開のツツジが迎えてくれます。三十分程で五度目の行場となる日枝神社に到着です。社殿は落書きだらけで興ざめです。整列して勤行です。般若心経を大きな声で力強く唱和します。境内には千手観音石仏を祀る御堂があり、そちらにもお参りし手を合わせました。

 日枝神社の境内を出、階段状に整備された登山道を登ります。山伏衆の号令で懺悔(さんげ)云々六根清浄(ろっこんしょうじょう)、と唱和しながら登ります。一汗かくと小広い空地に出ます。そこの脇道を行くと天狗岩が見えます。くちばしを持つカラス天狗の横顔だそうです。別名ゴリラ岩とも。

 天狗岩入口の空地からは道幅が狭くなり、深山の雰囲気が強くなってきます。途中には鉄の階段や鎖場もあります。登山道を横切る獣道もよく見られます。

 山襞を縫い巨岩の下を辿ると、山中最後の行場である不動岩(雨瀧不動尊)に到着です。雨瀧不動尊は高い一枚岩の上から地下水が滴り落ちているので名付けられたそうです。この滴りで『滝行』も出来ます。

 雨瀧不動尊を後にし、下りにかかります。狭い急階段や鎖場を下り、湧水の里キャンプ場へと下ります。急坂を下りトラバース道を辿り、階段状のコースになれば、終点はもうすぐです。

 湧水の里キャンプ場では、マイクロバスが待っていました。乗り込む前に管理棟の前の清水で喉を潤します。名前のとおり美味しい湧水です。ここに限らず、この霊山地域は湧水に恵まれています(先達ての雨瀧不動尊もそうでした)。

 マイクロバスで霊山神社に向かいます。バスを降り、隊列を組み、威儀を正して本殿に向かいます。本殿に向かい整列して勤行。ここまで来ると、全員声を合わせて大きな声で唱和出来ます。勤行の後、全員で記念写真。後はバスで愛敬院に帰ります。

 バスは不動尊公園の駐車場に着きました。ここで隊列を組み、法螺貝の音を先導として本堂へと向かいます。山門の前で藁を燃やした火(場採灯と言います)を飛び越えます。この時、『ア・バン・ウン』と唱えます。『ア・バン・ウン』の発生は産声、場採灯は産湯を意味し、前に述べた擬死再生の新たな出生を表します。そして、本堂において着到の柱源護摩供。峰入り修行を満行した喜びが読経、真言の唱和となって道内に響きます。

 あと、満行の食事会となり、満行証の交付で終了となりました。

三、最後に

 霊山という山は決して高い山ではありませんし、大きな山でもありません。コースも決して厳しくはありません。でも、先人の方々がここで研鑽し、修行し、そして戦ってきたことに思いを馳せ、その偉業と鎮魂の思いを持って行場を巡り、読経礼拝すること、決して他山の修行に劣るものとは思いません。願わくは多くの人々がこの山を訪れ、自然と歴史に触れ、この山での人々の行いに想いを馳せて頂けたらと思います。

 合掌



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寺社旅研究家のほーりーが立ち上げた、宿坊研究会の編集部。日本全国300件以上の宿坊を紹介し、宿泊者の体験談も多数掲載! 全国の座禅会・写経会・精進料理などの寺社体験もレポートしています。