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端場坊(山梨県身延町)の宿坊【くちコミ付き】

端場坊

基本情報

端場坊(山梨県身延町)

電話  :0556-62-0777
ウェブ :端場坊
住所  :山梨県南巨摩郡身延町身延3493
アクセス:JR身延線「身延駅」下車、山梨交通の路線バス「身延山」行き乗車、終点「身延山停留所」下車、徒歩15分
駐車場 :あり
【1泊2食】
【てライダープラン】
【夕食のみ】
【朝食のみ】
【素泊まり】

特徴・見所

 日蓮宗の総本山・身延山久遠寺の門前町にあり、日蓮聖人に帰依した四條金吾頼基公によって開かれた古い歴史を有するお寺です。高台に位置しており、身延山の宿坊で唯一、七面山を望むことができます。
 
 夕方の勤行では、お開帳・法話の時間が設けられています。また早朝に行われる総本山久遠寺の勤行へは、ご住職が案内してくださいます。写経・写仏・瞑想・作務行・水行・作務行(お掃除)・唱題行・唱題行脚といった様々な体験修行も行われています。

 またお食事は精進料理で、野菜や穀物などの植物性の食品のみを使って調理されています。

 その他、お寺を丸ごと貸し切ることも可能です。ご住職による身延山内ツアーや精進料理体験など、貸し切りプランが用意されています。


地図


ほーりー記

 端場坊は身延山の街中では、東側奥にある宿坊です。寺名の『端場坊』も、身延の端にあることからつけられました。もともとは身延山の入口(旧道はここから入る)に建てられたこともあり、始まりのお寺という意味もあるそうです。街の中心からは外れた場所にあるので静かで落ち着いた環境です。

 こちらは宿坊への宿泊を参篭と位置付けており、他の宿坊よりちょっと硬派なスタンスです。客室にはテレビを置かず、食事にもお酒は用意されていません。また夕方の宿坊でのお勤めや早朝の久遠寺の朝勤も、できるだけ参加するようにと勧められています。

 私は宿坊の方に以前からお世話になっていることもあり、今回はご招待して頂いての宿泊でした。なので通常とはちょっと異なるかもしれませんが、だいたいの流れは同じと思うので紹介します。

快適な客室とこだわりのアメニティ

■宿坊の客室
端場坊の宿坊客室

 私が宿泊したのは10畳の部屋が2間続いた客室です。床の間には掛け軸や焼物が置かれていて、とても風情のある和室でした。またタオル、バスタオル、浴衣が用意されています。

 そして歯ブラシが少し変わっていて竹製でした。こちらについて伺うと、脱プラスチックを考えて用意したとのこと。使い捨てではないので、持ち帰っても2ヶ月ほど使えるとのお話しでした。

 他にお茶とどら焼きがありましたが、このどら焼きはお寺の頂き物なので、その時によって変わるようです。

聖地、身延山での水行体験!

 チェックインして部屋に荷物を置いた後、まずはご住職と一緒に水行を行いました。日蓮宗のお坊さんは真冬に100日間、一日7回水をかぶる水行を行いますが、端場坊では希望すればこの水行を体験することができます。

 ふんどし姿(女性は白い行衣)で本堂の前に置かれた桶の前に立ち、まずは作法の説明を受けます。合掌して一礼し、ご住職が唱えるお経を聞きながら、身を引き締めます。その後、まずは手足や胸に水をかけて身体を慣らしてから水行を始めます。

 手桶に水をたっぷり入れて、勢いよく頭の上に振り上げ、脳天よりちょっと後ろ、首の辺りに叩きつけるように水を落としました。そしてこれを複数回繰り返します。

■住職と一緒に水行体験
端場坊の水行

 またこのとき一動作ごとに「そうえないじょうほざ」と唱えました。これは水行肝文を略したものですが、水の冷たさに肺が縮こまったのか、特に最初は言葉がとぎれとぎれになりました(水行を行ったのが11月末だったので)。

 それでも必死に続けていると、山に囲まれた中で自分の声と水の音だけが響き渡り、日常から離れて自然と溶け込んでいく気がしました。終わった後も発熱したようで、身体がちょっとぽかぽかします。

 水行後は着替えてから本堂に入り、夕のお勤めが行われました。こちらではまたご住職によってお経が唱えられます。途中でお焼香をさせて頂き、先祖供養、家内安全、身体健全、世界平和なども祈られました。

■本堂でのお勤め
端場坊のお勤め

 そしてお勤め後の法話では、端場坊の宿坊の歩みやコロナ対応など、ちょっと宿坊の内情的なこともお聞きしました。ただ他に宿泊した方の話を聞くと、身延山の歴史について詳しく説明して頂いた方もいたようです。毎回同じ内容かは分かりませんが、人に合わせて興味ある話を聞かせて頂けると思います。

食も修業(だけどおいしい)の精進料理

 夕食は精進料理です。こちらは日蓮宗でとても大切にされている、釈迦如来と多宝如来が安置された大広間で頂きます。

 端場坊は食事も修行の場にしており、まずは住職と一緒に食前の言葉を唱えます。これは目の前にある食事は一滴の水も一粒のお米も功徳と辛苦によってできたもので、感謝して頂きますという内容のものでした。

■おいしい精進料理
端場坊の精進料理

 そして料理のメニューですが、まずは何より、身延山の名物である湯葉のお刺身です。こちらはわさび醤油で頂きますが、とろっとした食感がある、とても上品な味でした。

 また精進料理の定番である胡麻豆腐は、赤味噌とわさびが添えられています。しょうゆや甘い味噌が乗ることは多いですが、赤味噌と胡麻豆腐の組み合わせは珍しいなと思い、印象に残っています。

 そして車麩のかば焼きは、薄味の多い精進料理の中でも、比較的こってりした味付けです。お肉の代わりのようでもあり、ご飯が進む美味しさでした。

 他には精進天ぷら(まいたけ、レンコン、さつまいも)、ふろふき蕪、しめじの酒蒸し、まいたけの酢の物、ご飯、漬け物、お吸い物、みかんがありました。

 そして食後も合掌して、「ごちそうさま」と食への感謝を示します。見た目も華やかでとても美味しい精進料理ですが、こうしてひとつひとつ丁寧に頂くことで、心も温かくなりました。

夕食後の歓談時間

 宿坊はお風呂も様々な歴史が感じられるのが、楽しみのひとつです。こちらは薬湯風呂でしたが、もともと端場坊は日蓮聖人の主治医を勤めた四條金吾(しじょうきんご)が開祖です。

 身延まで出かけて街を散策し、水行、お勤め、夕食と動き回った後に、身体の芯から温まるお風呂は最高に気持ちよい時間でした。

 そしてお風呂の後も、宿坊についていろいろお話を伺いました。端場坊のご住職はお話も好きな方で、日によっては宿泊者と夜遅くまで会話が盛り上がることもあるそうです。

 バイクが好きで愛車に乗って旅に出たりとか、愛好家の方向けの絵馬や御朱印を用意している話などもお聞きしました。

■置いてあった「幸」せを「引」き寄せるコーヒー
端場坊のコーヒー

早朝の久遠寺ガイド

 身延山は朝も早くから始まります。日蓮宗の総本山である久遠寺では、4~9月は5時30分、10~3月は6時から本堂でお勤めが行われます。

 身延山の宿坊に泊まった時はこのお勤めも楽しみの一つですが、端場坊のご住職は久遠寺まで一緒に来てくださり、一つ一つ案内して頂けます。

 私も他の宿坊には何カ所か宿泊していたので、だいたいの流れは分かっていると思っていたのですが、お勤めが始まる30分前にお坊さんが鐘を衝くことは知りませんでした。

 この大鐘はとても迫力があります。お坊さんが後ろに倒れて勢いをつけ、その反動で撞木を鐘に叩きつけるようなアクロバティックな撞き方をします。端場坊のご住職にお聞きしたら、若くて運動神経のあるお坊さんが、練習を重ねてできるものなのだそうです。

■お坊さんが思いっきり倒れてから撞く梵鐘
身延山久遠寺の鐘撞き

 ゴーンという重厚な音色は、早朝の静かな中で胸に響きます。まだ暗い境内で目よりも耳や空気の震えに感覚が集中し、何か込み上げてくるものがありました。

 そして本堂でのお勤めは、50人くらいのお坊さんが入堂してお経を唱える大迫力の空間です。ほーりーは何度も参列していますが、それでも毎回感動があります。

 またお勤めの後は、久遠寺の休憩所(無料でお茶が飲める)で、ちょっとした茶話会もありました。こちらでもご住職から久遠寺について、解説がありました。個人的には祖師堂の屋根についている力神が、正面だけでなく側面にもついているという話が楽しかったです。

 お勤めが終わると宿坊に戻って朝食です。こちらでもまた、食前の言葉を唱えてから頂きます。

メニューはご飯、味噌汁、がんもどき、ほうれん草のごまあえ、切り干し大根、梅干し、たくあん、こんぶ、味のりでした。

 とくにがんもどきはかなり大きく作られていて、添えられた大根おろしと一緒に頂きます。噛みしめると豆腐の味が口の中に広がり、おいしかったです。

■端場坊の林是乾住職
端場坊の林是乾住職

 そんなわけで充実した一泊二日の身延滞在。他の宿坊よりもご住職と一緒に過ごす時間が多いので、ちょっと心も引き締めたいとか、身延のことをもっと知りたいという方にはお勧めです。そしてご住職はとても気さくな方なので、会話もとても楽しい時間になりますよ。


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