近江一の宮の歴史と由緒を持つ古社です。祭神には大己貴命（おおなむちのみこと）がおり、縁結びのご利益があります。大己貴命とは島根の出雲大社のご祭神でもある大国主大神（おおくにぬしのおおかみ）の別名で、日本神話では多くの兄弟の中から意中の女神を射止めたり、毎年10月（神無月）には出雲大社に神々を集めて縁結びの会議を開くなど、縁結びの神様として知られています。

　また境内の大野神社は草野姫命（かやのひめのみこと）をご祭神としており、縁結びのご利益があります。

　草野姫は古事記では「鹿屋野比売神(カヤノヒメノカミ)」と表され、萱（かや）の神様でした。萱は屋根を葺くために使われることから草の代表であり、草の神様でもあります。始まりの夫婦神であるイザナギ・イザナミの間に生まれた神で、別名を野椎神（のづちのかみ）とも呼び、野の神様としての性格も持っています。

　そして古事記では山の神である大山祇（おおやまつみ）との間に、自然の地形に対応した4対8柱の神を生みました。このような野と山とが交わり、坂や峠、谷などの複雑な地形を作り出していったところから、この神様の縁結びが知られるようになりました。

　唐橋前駅で下り、瀬田唐橋を渡った先にある神社です。私が出かけた時には有名な船幸祭（８月）が近かったため、その準備なのか参道には幾つかの骨組みが組まれていました。しかし境内に入ると静かで人気も少なく、門から拝殿、本殿、末社と桧皮葺の屋根がずらりと並ぶ美しい景観に見惚れてしまいました。

　そして肝心の縁結びですが、ここはもともと交通安全の神様としての方が有名なためか、そんなに縁結びに特化したものは見当たりませんでした。かろうじて神様の名前を記した板に、縁結びと書かれてあった程度です。縁結びとしては近くにある石山寺の方が知られているため、そちらでお参りをして、こちらにはちょっと立ち寄るという感じでもいいかもしれません。

　また、縁結びにご利益がある大野神社も小さなお社です。

　このため静かに一人で、ひっそり縁結びをお願いしたい方には向いています。この神社であれば、誰にも邪魔されずに気兼ねなくお参りが出来そうです。