坐禅の聖地、永平寺参道に建つ宿坊・柏樹関(福井県)【口コミ付き】
永平寺親禅の宿柏樹関
電話 :050-3504-9914(予約・お問合せ9時~18時) ウェブ :永平寺親禅の宿柏樹関 住所 :福井県吉田郡永平寺町志比6-1 アクセス:えちぜん鉄道・勝山永平寺線「永平寺口駅」下車、京福バス「永平寺門前行」または「永平寺行」に乗り換えて終点下車、徒歩5分 駐車場 :あり 時間帯 :チェックイン14時。チェックアウト10時。 収容 :18室 |
1泊朝食付き 49500円~ 1泊2食付き 60500円~ (坐禅体験&早朝のおつとめ参加) |
曹洞宗の本山・永平寺の宿坊です。快適な設備・サービスのなか、坐禅や本格的な精進料理がいただけます。また大本山永平寺で研修を受けた禅コンシェルジュが禅道場での体験、禅の世界を案内してくれます。
永平寺で開催されている坐禅体験・法話・朝のおつとめに、宿泊者は無料で参加できます。また写経体験も用意されています。
永平寺から徒歩3分。参道沿いにある柏樹関に宿泊しました。こちらは永平寺がオーナーで、藤田観光が運営しているホテルタイプの宿坊です。
玄関から中に入ると、まず目につくのは真正面にかけられた『ほう(魚鼓)』です。こちらはもともと永平寺で使用されていたもので、龍頭魚身の形をした鳴り物です。禅宗では言葉を使う代わりに、こうした法具を打ち鳴らして食事の時間などを合図します。お腹の部分に残る傷も、永平寺で修行をされた多くのお坊さんの歴史のようで、その重みが感じられました。
またその向かって左側に受付があり、チェックインします。客室はそれぞれ花の名前が付けられていて、私が泊まったのは『花菖蒲』でした。部屋の中に菖蒲の絵が掛けられていたので、これは客室ごとに室名に合わせた花の絵があるのかもしれません。
内部は和室と洋室が合わさった造りで、ベッドがふたつ並んでいます。トイレ、洗面所、お風呂が備わり、ラグジュアリーな旅館といった趣です。また地元の工芸が多く取り入れられており、越前和紙の壁紙や越前焼の洗面ボウル、越前漆器の客室プレート、越前焼の急須や湯飲みなどがありました。
アメニティ類も洗練されています。タオル、バスタオル、歯ブラシ、髭剃り、櫛やコットン、綿棒など、大抵のものは揃っていました。作務衣や靴下も用意されています。他にお茶菓子やお寺に関する本、金庫や冷蔵庫などもあります。Wi-fiも完備しています。
それと部屋の中で面白かったのは、スマートスピーカー(Amazon Echo)があることです。「アレクサ、××して」とリクエストすると、フロントに電話をつなげてくれたり曹洞宗とはどんな宗派かを教えてくれたりしました。
柏樹関での禅体験(坐禅&写経)
永平寺では行事のある日などを除けば、毎日坐禅や写経が受け付けられており、柏樹関のスタッフ(禅コンシェルジュ)に案内して頂けます。
ただ私が宿泊したのはちょうど新型コロナウイルスの影響で、永平寺の修行体験が中断されている期間でした。このため坐禅と写経は柏樹関で体験しました。
坐禅は一階にある『開也の間』で行われます。この「開也(かいや)」とは、いつでも開かれているという仏教用語なのだそうです。
こちらに15:30に集合すると、坐禅会が始まります。初心者向けで実際に坐った時間は短めでしたが、坐り方などはビデオや禅コンシェルジュの方の説明があり、とても丁寧でした。また永平寺の歴史などもビデオで詳しく解説して下さったので、お参り前の予習にもおすすめです。
また写経はフロントでお願いすると、写経道具一式をお借りできます。こちらを部屋に持っていって、自由に写経する形式です。
書写するお経は般若心経です。お手本は二種類あるとのことですが、私は書体の簡単な方を選んでみました。
お手本の上に写経用紙を乗せて、上から透かして書く形式なので、初めての方でも難しいことはありません。私は夕食後にゆっくりとお経を書きましたが、心が落ち着く時間でした。
禅の精神が行き届いた柏樹関の精進料理
柏樹関では精進料理と郷土料理が選べますが、私はせっかくなので精進料理を選択しました。こちらは料理長が永平寺の典座(食事を作るお坊さんの部署)の方に実際に教わったとのことで、精進料理の精神がメニューの中にもいろいろと取り込まれていました。
精進料理の定番・胡麻豆腐や、ちょっと変わった湯葉のしゃぶしゃぶ、食材に無駄を出さないために野菜の断片などを包み込んだ飛龍頭、肉や魚を使わないために生まれた鰻もどき、車麩フライなど。
さらにはもちもちとした食感がおいしい揚げ出し大根餅や、口の中にするするっと入っていく豆乳蒸し、そしてご飯は福井県産「いちほまれ」です。
最後にきな粉をまぶしたわらび餅と、昆布の素揚げ(お出汁を取った昆布を素揚げして昆布茶で味付けしたもの)がデザートに出てきました。
なお、別途注文となりますが、お酒も各種用意されています。ここでも地元のこだわりがあり、福井の地酒は充実していました。
100人以上もお坊さんがお経を唱える永平寺のお勤め
早朝には永平寺の朝のお勤めにも参列しました。こちらも本来はコロナの影響で、一般参列は停止されていたのですが、柏樹関の宿泊者だけは中に入ることができました。その意味では参拝者がほとんどおらず、VIPのような対応でした。
永平寺のお勤めは季節によって時間が変わりますが、私が宿泊した時は4時50分にロビーに集合しました。そこから禅コンシェルジュの方に案内して頂きます。
法堂に上がらせて頂いてしばらく待っていると、修行をされているお坊さん達が100人以上も入堂されます。鐘や太鼓の音が響き、決められた作法のもとで朗々と唱えられるお経は圧巻です。さらに参列している私たちはその真ん中を通ってご本尊の前まで歩き、お焼香もさせて頂けました。
これがもう、緊張感と高揚感がまぜこぜになる特別な時間です。お勤めの中では宿泊者の名前も読み上げてご祈願され、私も手を合わせながら一生懸命に家族が健康であるようにとお祈りさせて頂きました。
(ちなみに修行僧の指導役をされているお坊さんが知り合いにいたので伺ったのですが、朝食の準備などでこのお勤めに出ていないお坊さんもさらに倍くらいいるそうです。永平寺はさすがに曹洞宗の本山だけあって、ものすごい人数のお坊さんが修行されています)
またお勤めが終わると、境内を禅コンシェルジュの方にご案内頂きました。永平寺はお勤めが行われた法堂から仏殿、山門などの七堂伽藍が山の斜面に沿うように並んでいます。
なのでその分階段が多く、ここで修行されているお坊さん達の足腰はめちゃくちゃ鍛えられそうだとか思いますが、その分景色は雄大です。
それぞれの建物の説明を受けながら、修行僧の生活や部署ごとの役割や、私が参拝した29日が曹洞宗の開祖・道元禅師の月命日であり、そのための特別な法要が行われていることなど、普通に見ただけではなかなか分からないことも教えて頂きました。
お粥が美味しい柏樹関の朝食
たっぷり1時間ほど永平寺を散策した後、柏樹関に戻って朝食です。こちらもお粥を中心とした料理でしたが品数も多く、朝からボリュームたっぷりです。しかし肉や魚を使わない精進料理ですし、早朝から歩き回ってもいたのであっさりと身体の中に入っていきました。
お粥には醤油の餡をかけて頂きましたが、こちらが甘くて口の中で溶けるように優しく、とてもおいしかったです。
そんなわけで食事が終わった後はロビーにある和雑貨のお土産を覗いたり、廊下にかけられた道元禅師の生涯をたどった絵を見たりして過ごしました。
チェックアウトは10時ですが、荷物はそのまま預かって頂けます。私はもう一度永平寺をお参りして、早朝のガイドでは入れなかった承陽殿や祠堂殿を拝観したり、日が昇って明るくなった建物の写真を撮ったりしてきました。
なお、永平寺はこの柏樹関以外でも修行体験としてお寺自体に宿泊することができます。その体験談は以下をご覧ください。
2019年に建てられた、新しく綺麗な宿坊です。入口を入った目の前には、鳴らし物の大きな魚鼓(ほう)が飾られ目を引きました。また入口受付の空間には、永平寺の杉の木が使われているそうです。
お部屋も綺麗で広く清潔でした。壁には越前和紙をあしらった装飾がされて素敵でした。この時は永平寺での坐禅や写経はできませんでしたが、伯樹関で坐禅体験ができ、お部屋で写経ができました。
初めて永平寺に行くことが出来てとても嬉しく思っていたのですが、思っていた以上に感動したのが朝夕の精進料理でした。小皿に色んな精進料理が並び目にも楽しく、どれもほんとうに美味しく体も心も喜んでいるのが分かりました。
精進料理は永平寺の監修とのことで、永平寺参拝時、売店にあった精進料理の本を早速購入。家に帰って本をよく見ると調味料の分量が書かれていなく、レシピ頼みの私は愕然としてしまいましたが、まずは簡単に作れそうなものからチャレンジしたいです。
朝のおつとめにも参加が出来ます。朝4時40分に集合なので遅刻しないようにドキドキしましたが、貴重な体験でした。お坊さまの毎日の修行は大変ですね。
1時間の朝のおつとめの後に1時間程、禅コンシェルジュの方が永平寺の中を回りながら説明をしてくださり、充実した時間を過ごせました。機会があればぜひ参加されてみてください。
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