熊野三山（那智大社、速玉大社、本宮大社）の一つであり、全国に祀る数千社の熊野神社の総本宮という格式高い神社です。ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」にも登録され、聖なる地として尊崇を集めています。また神宝館には312点の国宝を含む多くの宝物が収蔵されています。

　参道の途中にあるナギの大樹は平重盛お手植えと伝わり、推定樹齢1000年、国の天然記念物にも指定される日本最大のナギの木です。

　ナギ（梛）は凪に繋がり、波風を鎮めること、また葉脈が縦にしかなく強く引っ張っても葉が裂けないことから、縁結びに御利益ありといわれています。

　また熊野権現の御神木でもあり、その葉に魔除けの力があると信じられたことから、昔から熊野詣の帰りに持ち帰る旅人も多く、帰りの道中を守護してくれるお守りとしても用いられました。

　速玉大社で授与される『なぎ人形』はこのなぎの大樹の木の実で奉製された清浄なお守りです。縁結び、家内安全などにご利益があり、家の柱や壁に掛けておくと良いとされています。

　ちなみに人形の上に書かれている「千早ぶる　くまのゝ宮の　なぎの葉を　かわらぬ千代の　ためしにぞ折る」は、新古今和歌集の撰者の一人、藤原定家の和歌です。