東福寺(京都市 東福寺駅)の見どころ
東福寺
電話 :075-561-0087(寺務所) ウェブ :東福寺 住所 :京都府京都市東山区本町15丁目778 アクセス:JR奈良線「東福寺駅」下車、徒歩10分 駐車場 :あり |

臨済宗東福寺派の大本山です。摂政九條道家(くじょうみちいえ)が、奈良の東大寺・興福寺になぞらえようと「東」と「福」の字を取り、京都最大の大伽藍を造営したのが始まりです。嘉禎2年(1236年)から建長7年(1255年)まで19年を費やして完成しました。
境内には国宝の三門や重要文化財の禅堂、東司、浴室、開山堂、愛染堂、偃月橋など、多くの貴重な文化財が建てられています。また通天橋から見る紅葉は、秋の京都を代表する風景の一つとして人気があります。


東福寺ではぜひ渡っておきたい三名橋
東福寺は素晴らしい木造建築が多数ありますが、その中でも東福寺三名橋と呼ばれている3本の木造橋廊がかっこいいです。
まず最初に東福寺駅から歩いてくると、境内に入る前に渡るのが『臥雲橋(がうんきょう)』です。
■臥雲橋
屋根付きの純木橋で、こちらから境内方向を見ると次に紹介する通天橋も見ることができます。
■臥雲橋から見る通天橋
そしてこの臥雲橋を渡って門をくぐり、左手側に向かうと有料拝観エリアがあります。ここから入るとすぐにあるのが、東福寺の代名詞ともいえる『通天橋(つうてんきょう)』です。天授6年(1380年)に架けられた本堂から開山堂を結ぶ橋廊で、眼下には洗玉澗(せんぎょくかん)という渓谷が広がっています。
■通天橋
なお、ここから見る紅葉は絶景ですが、トップシーズンの混み具合も大変なことが多いです。私は紅葉時期に東福寺をお参りしたことはないのですが、電車で東福寺駅を通ったことがあります。その時は駅からあふれそうなほど人がいたので、週末に行かれる方は覚悟が必要かもしれません。
また新緑の時期も美しいですし、ゆったりと歩きたい方は春先から夏にかけてなどもおすすめです。
さらに三名橋の最後のひとつ『偃月橋(えんげつきょう)』は、境内の東側にあります。こちらは奥まった場所にあるため他の二つの橋と比べて目立ちませんが、重要文化財に指定されているので文化財的にはより貴重です。
■偃月橋
この橋を渡ると国宝の方丈がある龍吟庵があります。通常は非公開ですが拝観が可能な行事などもあり、特に庭園は素晴らしかったです。
ダイナミックな木造建築
東福寺には豪壮な建物が多数ありますが、その中でもおススメなのは三門、本堂、禅堂です。これらはそれぞれ、無料でお参りできる場所にあります。
まず最初に三門(国宝)ですが、この「三」は涅槃に到達するために通らなければならない3つの門を表しています。
■三門
私がお参りした時には手前の池にちょうど蓮の花が咲いていた時期で、名前の通り仏様の国までつながっていそうな気がしました。五間三戸、二階二重門で、横に大きく広がる屋根が印象的です。また三門(山門)は通常、お寺の入り口となる門ですが、現在の東福寺では境内の中心部分にあります。
そしてこの三門の二階部分には、宝冠釈迦如来像や十六羅漢像などが安置されています。楼上は非公開ですが、特別公開された時に登ったら、京都タワーも見渡せました。
三門の向こう側には、本堂があります。せっかくなのでこちらでは、楼上から撮影した珍しい角度の写真で紹介します。昭和9年に建築されたもので、他のお堂と比べれば歴史は古くありませんが、重層入母屋造の目を見張る建築物です。
■本堂
仏殿と法堂を兼ねており、正面から中を見ることも可能です。正面には釈迦三尊や四天王像が安置され、天井には堂本印象が描いた蒼龍図がありますが、身体をくねらせながら大空を舞う雄大な姿でした。
■龍の天井絵
またすぐ隣には、禅堂(重要文化財)が建っています。1347年に再建された日本最古で最大の、中世から遺る唯一の坐禅道場です。昔はここで400名以上のお坊さんが修行をしていたこともあったそうです。
ある意味で禅宗の気風が最も現れている建物ですし、三門や本堂に比べると飾りっけがなく見た目は簡素ですが、ぜひ注目してみて頂けたらと思います。
■禅堂
さらに他にも東福寺には、東司(お手洗い)や浴室が重要文化財に指定されています。禅宗のお寺ではこの二つと禅堂を合わせて三黙道場と呼んでおり、言葉を発してはいけない修行の場として扱われています(東司ではなく、食堂が入ることもあります)。こうした古い修行の建物が境内に現存してそろっているのも、東福寺の魅力です。
様々な景色が楽しめる日本庭園
東福寺には日本庭園もたくさんあります。まずは通天橋を渡った先にある開山堂です。こちらは境内で最も高い場所に建つお堂ですが、その前には池を中心に築山を配置した庭園がありました。
■開山堂と庭園
また方丈(有料拝観)には昭和の名庭園家・重森三玲によって作庭された4つの庭園があります。建物の東西南北に庭が築かれるという珍しい形式です。
その中でも私は特に、南庭が好きです。こちらは枯山水庭園で蓬莱山などを表した力強い石組と、穏やかに波打つような海を表した白砂など、いつまでも見ていたくなるような心落ち着くお庭です。
■方丈の南庭
他の庭園も市松模様に仕切られていたり、天の川が表現されていたりと、趣の異なる風景をそれぞれ楽しむことができました。
注目したい3月の涅槃会
一年を通して様々な行事が行われているお寺ですが、ほーりー的に注目なのは毎年3月14~16日に行われている涅槃会です。こちらでは室町時代の画家である明兆が描いた縦約12m、横約6mの大涅槃図がご開帳されますよ。
涅槃図はお釈迦様が入滅された(亡くなられた)時にそのお弟子さんや様々な人々、動物などまでが集まった場面を描いたものです。しかもこの涅槃図では通常、猫が描かれないことが多いのですが、東福寺の図は描かれているのが特徴です。
これは明兆が「涅槃図」を描こうとしたときに、猫が絵具をくわえて運んできてくれたので絵の中に描かれたそうです。他のお寺でも猫が描かれていることがありますが、これは東福寺形式とも呼ばれるとのこと。そんなわけで猫好きな方はそちらもチェックしたいところです。
またこの日は『花供御(はなくそ)』を頂くことができます。これはお正月にご本尊に供えた鏡餅のお下がりを、焼いてあられにしたものです。もともとは「はなくご」だったそうですが、音が似ていることから「お釈迦様の鼻クソ」と呼ばれて縁起物になっていきました。
ちょっとぎょっとする名前ですが、それだけに興味を惹かれるお菓子です。こちらもお参りした時は、ぜひ頂いてみてくださいね。