安来清水寺紅葉館(島根県安来市)の宿坊・精進料理【くちコミ付き】
安来清水寺紅葉館
電話 :0854-22-2530(予約受付時間8時~22時) ウェブ :安来清水寺紅葉館 住所 :島根県安来市清水町528 アクセス:JR山陰本線「安来駅」下車、車で約12分 駐車場 :大門駐車場駐車可能 時間帯 :チェックイン16時~18時。チェックアウト10時。 収容 :客室6室・最大22名 |
【宿坊】 一泊二食18920円(1名様) (休日、休前日19910円) 一泊二食15950円(2名様受付。1名様あたり) (休日、休前日16940円) 子供料金あり 宿泊料は日にちや人数により変わります。 【精進料理】(予約) |
安来清水寺の境内にある宿坊・精進料理食事処です。
精進料理は季節によっても変わりますが、わらび粉を用いていかの刺身のように作った「精進いか刺し」や、豆腐、山芋、くわい、蓮根等を原料として海苔を皮に見立て、鰻のように形作り、一旦揚げてから蒲焼にした「精進鰻の蒲焼」、精進料理の代表でもあり、白胡麻と本葛を用いて滑らかでもっちりとした口当たりにした「胡麻豆腐」、清水寺精進料理の名物で、和芥子を紫蘇で巻いて砂糖に漬け込んだ「うれしの」など、体にやさしく、食べておいしい精進料理です。
また精進料理は特別なコースや団体でなければ、予約無しでも頂く事ができます。
宿泊は静かで落ち着いた雰囲気と部屋からの眺望が特に素晴らしく、自然の中でごゆっくりとくつろげます。一人旅でも宿泊することができます。食事ももちろん精進料理です。
紅葉館に宿泊しました。こちらは安来清水寺の境内にある宿坊です。安来清水寺は天台宗の大寺院で、紅葉館は江戸時代に参道にあったお茶屋が時代を経て精進料理が頂ける宿となり、今に伝わっています。
安来清水寺へは安来駅からバスが出ていますが、2時間に一本くらいしかありません。なので公共交通機関で行く方は、時間を調べた方が良いでしょう。なお、思ったよりも時間が空いてしまった場合は、駅前のレンタサイクルで自転車を借りて、周辺の寺社をぶらっと回るのも面白いです(駅中にある観光案内所で、周辺の地図も頂くことができます)。
また自家用車やレンタカーの方は門前に複数の大きな駐車場があるので、車を停める場所には特に困らないでしょう。
石畳の敷かれた安来清水寺の参道をしばらく歩くと、まずは手前に松琴館が見えてきます(こちらも宿泊や、お昼に精進料理を頂くことが可能です)。その奥を右手に曲がると紅葉館があり、草花に囲まれた風情ある建物が待ち構えていました。
紅葉館の落ち着いた客室
玄関を上がってチェックインすると、6畳の部屋が二つ続いた和室に案内されました。窓側に広縁があり、洗面所もついています。また奥側の部屋には、和室に合う背の低いベッドが二つ並んでいました。こちらはふかふかでとても気持ちがよかったです。
室内にはテレビや空調、クローゼット、空気清浄機が設置されていました。アメニティは浴衣、ガウン、タオル、バスタオル、歯ブラシがあり、ドライヤーも置かれています(なお、髭剃りはお風呂にありました)。
安来清水寺の名物と言えば、ようかんがあります。境内には四つのお店があり、お参りの楽しみにもなっていますが、客室にもお茶とようかんが用意されていました。
外を眺めると木々の間に安来清水寺の本堂や三重塔などが見渡せ、鳥の声も聞こえてきます。ようかんのじわっと甘い小豆の味を噛みしめながらお茶を頂くと、それだけで旅の疲れが癒されるようです。
ライトアップされた三重塔を見ながら楽しむ精進料理
紅葉館での最大の楽しみは、やはり精進料理です。私が宿泊したのは4月だったこともあり、ちょうどたけのこが旬の季節でした。このため、たけのこの木の芽合え(つくし乗せ)や煮物、たけのこご飯など、しゃきしゃきの味と食感がたくさん楽しめました。
また安来清水寺の精進料理は、イカの刺身もどきを名物にしています。こちらは昔、すぐ隣の松琴館と門前のゆう心など、宿坊のご主人が集まって考案されたのだそうです。
透き通ったわらび餅をイカに似せて細長く固めたもので、紅葉館ではレモンを絞って頂きました。さっぱりしていながらもちもちした食感で、遊び心のある一品です。
そして精進料理の定番と言えば、胡麻豆腐とうなぎもどきです。
胡麻豆腐は鳴子百合の新芽が乗っていて、口に含むと舌に吸い付くようなきめ細やかさです。また鰻もどきはふたをあけると、しょう油の匂いがふわっと広がります。噛むとさくさくで蒲焼きの香ばしさが味わえました。
その他にも宿坊の回りで採れた山菜などを使った精進天ぷら(ふきのとう、鳴子百合の新芽、こごみ、たらの芽、アスパラ)や、山芋やおぼろ豆腐を使用して茶碗蒸しのようにした精進おぼろ蒸し、出雲そばなど、肉や魚を使わない精進料理ならではのメニューが並びます。
さらに面白かったのは、最初に出てきたくわいせんべいです。くわいを揚げて、きのこパウダーを振りかけた料理で、ポテトチップスのようにさくさくしていました。デザートにはイチゴの酒粕ソース乗せと黒蜜ときな粉をかけた胡麻豆腐のスイーツ、ゆずの皮に砂糖をあわせて練り上げた柚香が出てきました。こちらも最後にゆっくりと口に含むと、甘さが広がりました。
なお、食事は一階にある部屋で頂きましたが、光に照らされた庭と、遠くに見えるライトアップされた三重塔が、昼とは全く異なるお寺の景色を浮かび上がらせています。角度的には二階にある客室よりも、三重塔がきれいに見えた気がしました。
ついでにお酒は別メニューですが、私は地元で作られている『月山』を頂きました。安来市には月山富田城(がっさんとだじょう)がありますが、その地名を冠したお酒です。 すっきりとした甘い口ざわりですが、呑んでいるとよい感じで酔っていきます。おいしい料理と美しい夜の景色。たまらない夜でした。
紅葉館では温泉も楽しめる!
紅葉館のお風呂は、準天然の光明石温泉です。こちらは自然界に存在する天然鉱石のなかで最もイオン化作用の強いとされる薬石光明石(医薬部外品)を主たる泉源体としてできたもので、地下から湧出する温泉ではありません。
ですが神経痛・リウマチ・肩のこり・腰痛・痔・冷え症・疲労回復などに効能があり、別名「つるつる素肌の湯」とも呼ばれています。
お風呂は更衣室含めて鍵がかかるようになっており、チェックイン時に入浴時間を決めて予約しておきます。その分、時間の制限はありますが、他のお客さんを気にせず家族などだけで入れるのは便利です。
また、夜だけでなく、朝も5時30分~9時30分に入ることができたので、早起きして朝風呂も楽しみました。お風呂は広くて、5~6人は一度に入れる広さがあり、手足を伸ばしてゆったりと湯船に浸かることができました。
翌朝の食事と座禅体験
安来清水寺の本堂では、早朝にお勤めがあります。しかし残念ながら私が宿泊した日は行われていない日だったので、その分お風呂に入ったりうぐいすの声を聴いたりしながら、ゆっくり過ごさせて頂きました。
朝食はご飯、味噌汁、焼き魚、茶わん蒸し、胡麻豆腐のあんかけ、ほうれん草としいたけのお浸し、おから、味のり、梅干し、漬物、いちごとなしのコンポート、コーヒーです。
精進料理ではありませんが、焼き魚は山陰沖で獲れるカレイです。地元ではエテカレイと呼ばれていて、肉厚でおいしかったです。また夕食と同じ胡麻豆腐でもあんかけになっていたり、お味噌汁には宍道湖のしじみが入っていたりと、朝食からも旅の風情をたっぷり楽しむことができました。
そしてチェックアウト後、安来清水寺で座禅を行わせて頂きました。こちらは1週間前にウェブサイトで予約しましたが、体験レポートは安来清水寺の座禅紹介ページにまとめたのでご参照ください。
帰りは荷物を預けていた紅葉館に戻り、奥さんに門前の駐車場まで送って頂きました。車だとお寺の裏をぐるっと回る形になりますが、実はこちらに仁王門があり、江戸時代頃は本来の表参道になっていたようです。そんな道を見ていけるのも、送って頂いた特典かもしれません。
ついでですが、こちらのご主人とはインターネットでつながっていたので、記念写真も撮らせて頂きました。
ちょうど足を大けがされたところでギプスが痛々しいですが、入院中に料理を作る息子さんが頼もしくなっていったというお話も聞かせて頂けましたよ。何はともあれ、お大事になさってくださいませ。
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