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千手院(奈良県 信貴山)の宿坊・精進料理【くちコミ付き】

千手院

基本情報

千手院(奈良県 信貴山)

電話  :0745-72-4481(8:30~17:00)
ウェブ :千手院
予約  :じゃらんで予約
住所  :奈良県生駒郡平群町 信貴山2280
アクセス:近鉄生駒線「信貴山下駅」下車、ケーブルに乗り「信貴山」下車、徒歩10分
駐車場 :60台駐車可能(有料)
時間帯 :チェックイン15時。チェックアウト10時。
収容  :客室13室
【本館】
一泊二食1名15400円
2名13200円
3名以上11000円
素泊まり1名10000円
2名9000円
子供料金7700円
【新館】
一泊二食1名14300円
2名12100円
3名以上9900円
素泊まり1名10000円
2名9000円
子供料金 7700円

特徴・見所

 信貴山の宿坊で、美しい庭があります。お勤めは自由参加。料理は精進料理ですが希望すれば懐石料理も頂けます。宿泊以外でもお昼に精進料理を頂くことができます。


地図


ほーりー記

 千手院さんと共同で開催した寺社コンイベントで宿泊したため、通常の宿泊とは少し異なる部分がありますが、修行体験など共通のものも多いので、紹介いたします。

千手院の客室

 宿泊は団体だったため大部屋でしたが、宿坊内には少人数用の部屋も用意されています。千手院の裏側には風情のある日本庭園があり、お庭に面した客室などもありました。また部屋には浴衣が用意されていました。

千手院の写経

 チェックインして一息つくと、まずは写経から始めます。ご本尊の千手観音が安置されたお部屋に机が並べられ、心静かに写経を行いました。書写するお経は般若心経で、筆ペンを用いてお手本をなぞる形式ですので、初めての方でも特に難しいことはありません。お経を一文字一文字ゆっくりと書き写し、最後にお願い事を書いてお寺にお納めしました。

 写経が終わると夕食です。豪快な松の絵がふすまに描かれた部屋へと案内され、みんなで食事を頂きました。出てきたメニューはご飯、味噌汁、漬物、エビ・なす・しいたけ・カニの天ぷら、鍋物(白菜・もやし・しめじ・ネギ・ホタテ・油揚げなど)、刺身こんにゃく、キャベツ、トマト、煮物(里芋、高野豆腐、ニンジン、こぶ、こんにゃく)、胡麻豆腐、梅干し、酢の物、そら豆、菜の花、イチゴ、リンゴなどでした。

千手院の夕食

 ご飯がとにかくおいしく、また今回は精進料理ではありませんでしたが、野菜中心の健康的な懐石料理でした。見た目も美しく味付けも優しく調理されています。

 また箸袋には「一滴の水にも天地の恵みがこもっております。一粒の米にも万人の力が加わっております。感謝致しましょう」と書かれていました。こうした言葉はやはりお寺で食事を頂く醍醐味だなと思います。

千手院の夜の散策

 食事が終わると夜は特別に、宿坊の方に夜景散策にも連れて行って頂きました。朝護孫子寺の本堂は見晴らしの良い高台の上に建っていますが、ここはもともと聖徳太子が感得した毘沙門天が出現した場所で、昭和26年の漏電火災で焼失するまでは豊臣秀吉または秀頼が再建した本堂が建っていたそうです。

 ここからは街が遠くまできれいに見渡せますが、都会と違ってネオンの明かりがないので、穏やかな色の夜景でした。

 他にも境内のあちこちに刻まれたムカデと虎についてもお話頂きました。ムカデは毘沙門天のお使いですが、おあし(=お金)が多く前にしか進まないことから、金運のご利益があるとのことです。また虎は毘沙門天が寅年寅の日寅の刻に現れたことから朝護孫子寺では特に大切にされており、境内に33か所置かれている虎の像のうち、夜な夜な歩き回るので檻の中に入れられた2か所の虎なども案内して下さいました。

 夜景散策の後はお風呂に入りましたが、こちらはバイタル(活性化)ミネラル温泉です。説明書きによると数種類の活性石によって造り出される温泉で、水の汚染物質を吸着、分解、除去してお湯の中の無機塩類(ミネラル)を溶出し、皮膚の細胞を活性化させるとのことです。疲労回復や肩こり、あせも、荒れ性、神経痛、腰痛、リューマチ、ひび、しもやけなどに効能があります。

千手院(信貴山)の朝のお勤め

 翌朝は5時に起床で、5時30分から朝護孫子寺の本堂でお勤めが行われます。夜に見た夜景スポットは今度は日の出スポットとなっており、鮮やかな朝焼けを拝むことができました。本堂に入ると塗香が一人一人の左手に乗せられ、そちらを両手ですり合わせてから身体中を清め、内陣へと通されます。

 鰐口の音が鳴り響き、太鼓が打ち鳴らされる中でお坊さんたちが入堂し、大太鼓とともに般若心経や声明が唱えられました。また一人一人の名前が読み上げられ、家内安全や商売繁盛、道中安全などが祈られます。さらに大般若転読法要が行われ、経本で机をバシバシと叩いたり、アコーディオンのように広げてパラパラとめくっていくアクロバティックな法要が目の前で繰り広げられます。読み上げられるお経の中には毘沙門天や三蔵法師のお名前などもあり、長い時代を経たお寺のすごさを感じました。

 お勤めが終わると本堂の奥にある戒壇巡りに入ります。こちらは本堂の地下にある真っ暗闇の回廊で、八百五十年前に納められた如意宝珠が祀られています。右手を壁に這わせながら歩いていくと途中で木の格子があり、中には生まれ年ごとの守り本尊が安置されています。ちなみに右手は仏様を表し、真っ暗い中で壁に手をつくことは、仏様に手を引かれて歩くことを意味するのだそうです。

 そしてさらに歩くと今度は鉄の錠前があり、こちらにふれると商売繁盛や家内安全のご利益を授かります。暗い中で気を付けないと気付かずに素通りしそうですが、無事に錠前にふれることができました。

 ついでですが生まれ年の守り本尊について。寅年の方は通常は虚空蔵菩薩ですが、こちらでは毘沙門天も守り本尊に入っています。さすが毘沙門様のお寺という感じですが、寅年の方は二人の仏様に守って頂けるので、他の方より2倍ご利益ありそうです。

千手院のお勤め

 戒壇巡りを終えて千手院に帰ると、今度は千手院の護摩堂でお勤めが行われるので案内して頂きました。こちらでは薄暗いお堂の中で、すぐ目の前に座ったお坊さんが護摩の火を焚かれていました。打ち鳴らされる大太鼓でお堂がびりびりと震え、炎の熱気が伝わり煙が目にしみるほどの迫力の法要です。また希望者のみですが願いを書いた護摩木を火の中に投じて頂き、それぞれの祈りを捧げました

 またお勤め中は経本が渡され、般若心経や毘沙門天王功徳経、毘沙門天などのご真言をお坊さんと一緒にお唱えします。ちょっと面白いと持ったのが毘沙門天王功徳経で、毘沙門様に祈ればこんな良いことがある、こんなご利益があるということがびっしりと書かれていて、お経の中の世界観にふれることができました。そして最後に五鈷杵で左肩、右肩、頭をなでられ、「えい!」と唱えられてお加持をして頂き、お勤めは終了しました。

千手院の朝食

 護摩堂を出ると朝食。メニューはご飯、味噌汁、湯豆腐、卵焼き、シシャモ、切り干し大根、ノリ、梅干し、キュウリのお漬物です。温かな和食で朝早くから動き続けていただけに、ほっとするご飯でした。

 続いて法話。今回は尼僧の方にお話し頂きましたが、内容は多岐に渡っていました。命のバトンタッチに関すること。両親から受け継いだDNAは半分であり、残りはご先祖様から脈々と受け継がれているということ。しかし15歳までは親から頂いた顔であるが、それ以降は自分の生き方によるとのこと。

 脱いだ服や使った皿はそのままにしていないか。こうしたことは目に見えないが、形となって出てくること。良いか悪いかは死ぬときになってわかるが、それまで良い種をまき続けていくこと。自分のことをもっと知ってみる方法。そしてささいなことでも自分の良い部分を見つけることが、人の良い部分も見つける手段となること。自分が足りないと思ったことには、チャレンジしていくこと。

 ご自身の経験や仏教のことなど交えてお話され、日々のことを振り返ったり、思い直したり、中には心にぐさりと突き刺さるような、ためになるお話でした。

千手院の座禅

 法話が終わると座禅。実はたまたま宿泊した日に仏前結婚式を挙げられたご夫婦がいたため、寺社コン企画として法話の前には特別に結婚式への参列もさせて頂きました。これは通常の宿泊では行われないのでレポートは省きますが、これだけ濃い体験をしてもまだ午前中なのだなということに軽い驚きを覚えます。

 そしてその座禅ですが、写経を行った時と同じように、千手観音が安置されている本堂へと移ります。そちらには座布団が人数分、二枚重ねで用意されており、一人一人そちらに着席しました。

 まず座禅は体に力が入っていたらダメとのことで、体操を行います。座布団の上に正座して、そのままの足の形で後ろに寝転がります。体が硬いと、きつい姿勢です。そして両手を上に伸ばしたり、片腕ずつ動かして身体をひねったりしながら体をほぐしました。

 続いて座禅。左足のももの上に右足を乗せる半跏趺坐の姿勢で、手を両膝の上に上向きに乗せて身体を揺らして姿勢を整えます。安定したところで身体の動きを止め、背筋を伸ばして左手の上に右手を乗せて足の上のあたりで組む法界定印を取ります。

 目は半眼にして、鼻の頭ぐらいを見るようにします。すると視線の先が目の前の1~1.5メートルくらい先にいくようになります。自分の気持ちが仏様と一体になるように、観念的には仏様となって静かに坐ります。

 坐っていたのは大体30分くらい。途中でお坊さんが一人一人に警策で叩いて下さいました。警策は文殊菩薩の手であり、叩いて頂くことで知恵を授かるのだそうです。目の前に来たお坊さんに合掌して頭を下げ、右肩の下の背中あたりを3回叩いて頂きます。それほど痛くはありませんが、大きな音が部屋に鳴り響いていました。

 また真言宗の瞑想である阿字観も取り入れられています。実際に指導されたのは阿字観の初歩的な修行の阿息観です。鼻から息を吸って「アーーーーーーー……」という声とともに息を吐くことを教わりました。

 ここまでで一通りの宿坊体験は終了ですが、他にも千手院は毎週日曜日の午後に柴燈護摩が行われています。宿坊に併設されたお食事処でお昼ご飯を食べた後、せっかくなので参列することにしました。

千手院の柴燈護摩

 宿坊の前に護摩壇が組まれ、ほら貝を吹きながら修験者たちが入場します。そして護摩壇の周りに張り巡らされた結界の外側四方などに向けて矢を放ち、斧を壇に向けて振り下ろすなど、様々な修験道の儀式が行われました。

 それらが終わると護摩壇に火が灯され、炎が大きく燃え上がります。太鼓や錫杖が打ち鳴らされ、火の勢いが落ち着いてくると参列者一人一人に錫杖が押し付けられてお加持をして頂きました。

 このように思いっきりお寺での体験を満喫できた二日間。いろんな修行に参加してみたいという方にはおすすめの宿坊です。


宿泊者の声

 ミネラル水のお風呂は肌触りがよい。

 料理は精進料理的和食(魚がついていた)で値段の割りにおいしい。また、ちゃんとした精進料理もやっているので、希望される方は確認した方がいいです。

 食後コーヒーを別料金で頼んだら、ワラビもちをおまけしてくれた。

 無料人生相談あり。

 宿坊の方が親切で、とても良いところ。


宿泊者の声

 千手院は鉄鉢料理という精進料理が有名でおいしかったです。部屋もきれいで、確かお風呂が温泉(鉱泉?)でした。朝の勤行で住職が本尊毘沙門天の前で護摩行をされてました。小さな本堂でしたが、参拝の皆さん肩を寄せ合いながら読経していたのが印象に残っています。 また同じ日に宿泊していた老僧曰く、千手院本尊の毘沙門天の裏に小部屋があって、先代の千手院住職はそこで双身の毘沙門天の浴油法を密かに行われていたそうです。ちなみに、その毘沙門像は黄金製とか・・・。


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