庭園を眺めながら、黄檗宗の名物普茶料理（中国風精進料理）が頂けます。

　伊達政宗屋敷跡に建立されたお寺で、伊達政宗お手植えのモッコク（樹齢約4百年）や、位牌などがあります。

　書籍の取材ですが、普茶料理（中国風の精進料理）を頂きました。

　メニュー表には、

特菜（梅干の日の出揚）、雲片（いろいろ千菜の葛寄せ）、麻腐（マフ　白胡麻、吉野葛の豆腐）、箏羹（シュンカン　飛竜頭、粟麩、椎茸、その他珍野菜煮合）、附揚（冬枯椎茸、豚、その他野菜）、浸物（柚子あえ、白酢あえ、蕪胡麻酢、薇芥子あえ）、澄免（スメ　金子巻、木ノ芽、人馬草、独活などの澄し汁）、飯子（ハンツー　薄菜塩めし）、香菜（ヒャンウー　奈良漬、沢庵、当座漬、その他）

　と、書かれていて、その他に柿とライチがデザートとして、ついていました。

　ちょっと風変わりで、まず何よりも印象に残ったのが、胡麻豆腐です。炒った胡麻を使い、コーヒーのような香ばしさが出されていて、見た目にもこげ茶色のコーヒーゼリーのようです。

　そして精進天ぷらには、肉厚のシイタケや紅ショウガ、掻き揚げ、おくら、絹そうめんなどが使われ、油をふんだんに用いた普茶料理の特色が出ています。

　また、２日半かけて水を入れ替えながら炊き、酸味を取って甘く味付けした梅干しの日の出揚げも手の込んだ一品です。梅の香りがふわっと漂い、上品な味でした。

　さらに揚げた素麺で栗を包み、紅葉の天ぷらを添えた栗もどきなど、見た目にも面白い手作り料理が彩を添えます。

　もちろん、おいしいだけではありません。雲片（うんぺん）は面取りした野菜の残りなどを葛寄せした料理で、もともとはお供え物や調理した時に余った欠片を美味しく頂くために生まれたものです。無駄を出さずに全て頂く、仏様の教えが込められています。

　また、ちょっと変わった特徴として、豚肉が一切れだけ加えられていました。豚は崇高な動物として、インドのベジタリアンは豚を食べるとのことです。

　今回は取材ということもありましたが、普茶料理の心についてもお坊さんからいろいろとお聞きしました。普茶とは「普（あまね）く茶を供にする」という意味があり、中国では皇帝も庶民も一緒の机で食事をする慣習があった。その形式を踏襲しているため、こちらでも和気あいあいと楽しみながら、大皿に盛られた料理を直箸でつつき合います。

　しかし楽しむだけではなく、精進の心として料理を作る側は食べる人のことを考え、頂く側は感謝をして食事をするようにとのことでした。

　海宝寺は伊達政宗が植えたモッコクや、伊藤若冲の絵などが伝わり、歴史や文化財も豊富です。お寺の方もとても気さくで、心も身体もときほぐされるような時間を過ごすことができました。

　私は普茶料理を頂くのは初めてで、以前に普茶料理の特徴は多量の植物油と葛（くず）を使う・・と本で読んだので、濃い味付けで油っこい料理なのかな？　と思っていたのですが、実際は見た目も味付けも素朴でとても食べやすい料理でした。

　お寺の方の説明から、一品一品素材の良さを無駄にせず手間隙かけて作られているのがわかり、料理を作ってくださった方に感謝しながら美味く頂きました。

　薄茶に始まり、特菜（梅干の日の出揚）・雲片（干菜の葛寄）・麻腐（白胡麻・吉野葛の豆腐）・箏羹（野菜煮合）・附揚・浸物・最後は飯子（薄葉の塩飯）と、香菜（お漬物）です。清涼閑雅な禅院にて高雅淡白なるを賞味する・・・。大変感慨深いひとときでした。

　訪れるのは二回目で、前回は少し探しましたが、今回は京阪バスを利用したためか、あっさりと迷うこともなく時間前に着いてしましました。皆様集合後、本堂で副住職のご説明付きの拝観があり、それから部屋に通されました。

　さてお料理ですが、全ての品に共通することは、脂っこいのではと思いこんでいたのもありますが、とにかくあっさりしていて素材本来の味を生かした素朴な味付けになっていたことでした。

　更に係の方には、お料理の説明を丁寧にして頂けて良かったです。大変満足いたしました。また機会があったら食べに行きたいです。