京都・奈良のお寺で仏像に会いましょう（福岡秀樹）

　何と言っても日本が誇る最大の仏像都市、京都・奈良。本書はこの２つの地域に焦点を絞り、京都１４ヶ寺、奈良１８ヶ寺について紹介しています。

　この本の最大の特徴は、それぞれの仏像をイラストで紹介している点です。仏像の写真は一切ありません。「えっ、写真は無しなの？」と思われるかもしれませんが、この徹底した姿勢が、逆にこの本の魅力なのです。

　もちろんその魅力が存分に感じられるのは、イラストが秀逸だからに他なりません。イラストはおのおのの仏像の性質をよく掴み、むしろ写真で見るより特徴が分かりやすいほどです。

　さらに写真では見ていないため、実際にお寺で仏像を見たときの感動もひとしおです。イラストを見て拝観記を読んで、自分の中でイメージを膨らませていた仏像は実はこんな姿だったのかと、この感覚は他のガイドブックでは味わえません。そして対面した仏像の前でイラストと実物を見比べると、さらに仏像の特徴がよくわかります。

　拝観記の方も、仏像の背景、歴史、伝わる伝説、御開帳情報や拝観方法など、役立つ情報が満載です。ラインナップも三十三間堂や、東寺、清凉寺、六波羅蜜寺、興福寺、東大寺、法隆寺、新薬師寺など、押さえておきたい仏像を、しっかりと揃えて載せています。

　京都・奈良で仏像を見たいと思ったら、この本で下調べしておくと良いでしょう。何も知らずにお寺を回るのとでは、１００倍も楽しさが変わる本です。あなたの京都・奈良旅行のお供に、是非どうぞ。