大山阿夫利神社の宿坊です。食事は豆腐料理を中心としたコース料理です。ウェブサイトに一品一品、写真付きで紹介されています。昼食に料理を頂くこともできます。

　また般若心経を書き写す写経や祝詞を写す浄写、そして瞑想など様々な宿坊体験も用意されています。

　東學坊の宿坊にはまだ宿泊していませんが、祝詞を書き写す浄写体験を行わせて頂きました。

　全日に電話で予約し、当日、フロントで予約した旨告げると、二階のつばきという部屋に案内されました。

　こちらは机と筆や硯、墨汁などが並べられた和室で、正面には阿夫利神社の神様である大山祗大神（おおやまつみのおおかみ）・高龗神（たかおかみのかみ）・大雷神（おおいかずちのかみ）と、大山寺のご本尊・不動明王が書かれた掛け軸がかけられています。

　東學坊には般若心経を書く写経と、祓詞を書く浄写が用意されています。お寺体験も神社体験も一度にできるのは珍しいですが、大山はもともと神仏習合で信仰されていましたし、お経と祝詞をどちらも書き写すことができるのはユニークです。

　私は般若心経はあちこちで写経したことがあったので、今回はまだ経験の少ない浄写を選んでみました。この祓詞は罪や穢れなどを祓い清めるために、神前でのご祈祷時などに最初に詠み上げられるものです。

　硯に墨汁をたらして小筆の先につけ、一呼吸おいてからお手本をなぞりゆっくりと文字を書き写します。

　漢文の写経と異なり、漢字ではあるものの和文として読むことができるので、とても新鮮です。ただ一文字ずつ書きながらだんだんと集中がとけていき、ふにゃふにゃな線になってはあわてて集中しなおしては浄写を進めていきました。

　そして最後まで書いたあとは願いことを書き入れ、目の前の神様仏様の前に奉納します。最後にお茶が用意されていたので、ほっと一息つきながら頂きました。

　頂いたコースは御坊料理（豆腐懐石）の松の膳。自家製の豆腐で作った、豆腐料理でのおもてなしでした。風流な個室に通され、露天風呂が見え、川のせせらぎが心地よい部屋でした。

　松の膳の御献立は次のとおり。先付・お造り・八寸・季節鉢・焼物・炊合せ・小鉢・御飯・水菓子

　豆腐を使った趣向を凝らしたメニューで、豆腐料理って奥が深いなーと感じました。スーパーとか居酒屋で食べる豆腐と全然違いますよ。豆腐でここまで楽しめるのか、という内容に大満足でした。

　昼食のお豆腐会席。私は豆腐が大好物（湯葉やら入り豆腐やらetc）で、濃厚な大豆の香りと甘味をじっくり堪能しました。東学坊さんは「お寺に泊まろう」で拝見した通りの上品な女将さんと（素敵な雰囲気でしたよ）手際のいい仲居さんで、万事滞りなく胃腑の中へ豆腐は運ばれました。離れ風の和室の空間や、外を眺めれば新緑に囲まれた露天風呂もあるという、大人の隠れ家的風情を満喫しました。

　通された部屋には風情がありました。窓の外に目を向けると新緑が鮮やかです。名物の豆腐料理を口にすると、普段自分が口にしていた豆腐と言うものは一体何物なんだぁぁぁと思わざるを得ません。味の濃さ、深さ、全く違います。豆腐料理の奥深さに感服しました。目にするもの、口にするもの全てを楽しんだ、濃密な至福のひとときを過ごさせていただきました。ここ、絶対にお勧めです。

　通されたのは、高級料亭かお忍び旅行の宿～のようなお部屋。川のせせらぎが心地よい～響き。露天風呂も見えます（って中は見えませんが）。２～４時までは男性が入れるそうです。

　まず出てきたのは、お抹茶と梅豆腐という和菓子。各々の席の箸起きの下には、和歌が書かれた紙が‥‥。なんという雅なおもてなしでしょうか？　そこに大女将さんが静々と登場してご挨拶。お料理は「お寺に泊まろう」とほぼ同じでした。器は季節に合わせて違えてます。お酒もいただきました。地ビール、冷酒、梅酒だったかな。