神戸市民から長田さんと親しまれ、神戸市民の心の拠り所、願いを叶え応える神として篤く敬仰されている神社です。阪神淡路大震災では鳥居や灯篭は損壊、社殿も半壊に近い状態と甚大な被害を受けながらも、参集殿を臨時避難所として提供し、境内を開放するなど地域社会にも貢献を果たしています。

　6世紀頃、この辺は海の入江へと流れる河口の上流にあたり、ある初秋に繁殖の為岸辺近くに寄ってきた赤えいの群が、台風で増水した川を溯り、境内に入ってきました。そして近くの人がこれを発見して捕獲しようと後を追ったが、御神木の「樟」の付近で見失ってしまったそうです。

　このためこの樟は神の化身である「赤えい」の宿る処とされ、当時の貴重な蛋白源でもあった赤えいを断って諸願を祈る風習が生まれます。そのうちに痔に特に効き目があると言われるようにもなり、赤えいの絵馬に願いを掛けるようになりました。ご神木の樟は楠宮稲荷社にあり、今でも痔疾平癒に『赤えいの絵馬』が奉納されています。

　また長田神社では、県指定重要無形民俗文化財の古式追儺式も有名です。

　長田神社追儺式の鬼は神々のお使いとされており、災いを払い清めてくれる存在とされています。神事では一番太郎鬼（いちばんたろうおに）、赤鬼 （あかおに）、青鬼（あおおに）、姥鬼（うばおに）、呆助鬼（ほおすけおに）、大役鬼といわれる餅割鬼（もちわりおに）、尻くじり鬼（しりくじりおに）の七匹の鬼が登場し、清々しい良い年を迎えることを祈って踊ります。

　このためお守りにも、『鬼さんストラップ』や『古式追儺式神事絵馬』など、鬼に関するものが授与されています。

　他にも正月三ヶ日限定で、名物の『長田さんのポッペン』が授与されています。長田さんのポッペンは「ポッペン・ポッペン」と音が鳴る明治から昭和にかけて流行したビードロ玩具で、良く鳴ることから物事が良くなる縁起物とされ、さらには「べッピン」とも聞こえることから美人になるとも云われてきました。